本当に育児参加してる?男性の育休取得率の現状

2022年2月15日

育児参加

男性たちの育児参加の現状

実態調査10の質問

男性の育児参加が叫ばれている昨今、その現状はどうなっているのでしょうか?

今回の記事では、日本労働組合総連合会による2019年に実施した子どもがいる全国の25歳から49歳の働く男性1,000人を対象とした”男性の家事・育児参加に関する実態調査”を元にまとめて紹介してみようと思います。

 

Q1.働く父親は一体どれくらい働いているの?

一週間の労働時間の平均は47時間。週5勤務の場合は1日9.4時間ということになります。おおよそ毎日1時間くらいの残業でおさまっていると見て良いのではないでしょうか。

しかし「60時間以上」と回答した方も8人に1人います。

平日の育児参加がほぼ絶望的なお父さんがこれだけいる=母親のワンオペ育児と家事の負担がまだまだ大きいようですね。

 

Q2.働く父親は一体どれくらい有給休暇を取っているの?

年次有給休暇の平均取得率は51.0%。100%取得している人はわずか11.4%となっており、働くお父さんの約9割が有休を消化できていないようです。

ただし有休の取得については父親に限らず、男女問わず同様の状況である職場が多いように感じるので、取得しやすい環境へと改善していく必要がありそうです。

 

Q3.いよいよ本題!働く父親の育児時間はどれくらい?

働くお父さんの一週間の育児時間の平均は9.3時間!また、先ほど週に60時間以上働く人では7.1時間とのこと。

土日も含めた時間と考えると、あまりに少なすぎる気がしますね…。外で働くことも本当に大変なことだとは思いますが、家では子供と関わる以上に一人で休養する時間にあてているのでしょうか。「イクメン」なんて言葉がもてはやされている中で現状は残念な結果となっています。

ちなみに家事の時間は一週間の平均6.2時間と更に低い数字です。家事の分担は実現されず、共働きであってもママへの負担が大きくなっているようです。

子どもが生まれる前に妊娠や出産を予定している時点で、どちらが何を担当するのか、どのような形で仕事や子育てを行うのか等、夫婦できちんと話をしておくことも大切ですね。

 

Q4.育児参加をしている父親が行っている育児は?

1位は「子どものお風呂」37.0%、2位は「子どもの遊び相手」34.6%、3位は「子どもを起こす」32.0%、4位は「子どもの歯磨き」24.5%、5位は「子どもの寝かしつけ」22.5%

となっていました。

やはりお父さんといったらお風呂、ですかね。我が家もお風呂の時間に父親が在宅の場合はお風呂に入れてもらっています。3位の「子どもを起こす」が育児に入っているは何だか母親としてはモヤモヤしますが…。

また、保育園や幼稚園、小学校との連絡帳ややりとりにはほとんどの父親が関わっていない模様です。学校だけではなく、児童館なんかも行きたがらない男性が多いような気がします。我が家も然り、男性は先生や他の家族とのやりとりが苦手な人が多いのでしょうか。

たまに積極的にそういう場に参加しているパパさんを見かけます。コミュニケーション能力のあるパパ、「羨ましいなぁ…」と心から思ってしまいますね。

 

Q5.育児参加に関する働く父親の理想と現実

「仕事と育児の両立が理想」は62.7%、「仕事を優先」が19.1%、「育児を優先」は14.1%という結果に。

半分以上のお父さんが両立させたいと願っているようです。

しかし実際の現状はというと、

「仕事を優先」は 56.5%、「育児を優先」は 6.8%、 「仕事と育児を両立」は 30.4%という結果。

両立を理想としている人の約半数しか実現できておらず、理想と現実の差は大きいようです。そして多くのお父さんがやはり仕事を優先しているという現状でした。

 

Q6.男性は育児休業をどれくらい取ってるの?

育児休暇を推進している企業が増えている一方、実際に育児休業の取得率はわずか7.2%という悲しい結果に…。

企業側が社員向けに制度を設けていても、実際に利用する社員は少ないようです。

また、約半数の45.6%の人が「育児休業に関わらず育児の為に会社を休んでいない」と回答しています。

つまり夫婦共働きの家庭であっても、子どもの病気の時の看病や保育園からの呼び出し等に対応して休みを取っているのは母親側ということになりますね。

予想はしていましたが、まだこのような現状ということに悲しくなります。

 

Q7.男性の育児休業に対する本音とは・・・?

育児休業未取得の背景にある意識として、 「本当は取得したかった」30.2%、「取得するつもりがなかった」69.8%でした。 

そもそも取得するつもりがなかった人がほとんど。その理由としては「男性が取得するものではないと思う」という意見が多く、やはりまだまだ男性の育児参加に対する意識は低いようです。

しかしながら、妻の支援や子ども成長と向き合う為、本当は取得したかったと悩みながら働き続けているお父さんも3割いるのですね。

また、育児休業を取らなかった理由の1位は「代替要員がいない」、2位は「収入が減る」、3位は「男性が取得できる雰囲気がない」とのことです。

1位と3位は企業側の問題ですよね。従業員の子育てをサポートするような体制作りが今重要視されていますから、ぜひ企業側も取り組んで頂きたいです。

また、2位の収入に関しては子育てにはお金も必要ですし切実な問題ではありますが、これも会社の所得保障がない(少ない)といったことにより起こっている事でもあります。

 

Q8.育児休業を取得した働く父親の現状

育児休業を取得した方の取得日数の平均は33日と約1ヶ月ですが、半数以上は「1週間以下」という結果に。おそらく産後の数日といったところかと思いますが、これは育児休業というのでしょうか…?

実際に育児休業を取得して困ったことの1位はやはり「収入が減った」こと、2位は「仕事の情報が得られなかった」、また、20.8%もの人が「パタニティ・ハラスメント(パタハラ)を受けた」と回答しています。

パタニティ・ハラスメントとは、女性に対するマタニティ・ハラスメントの男性版で、育児の為に休暇や時短勤務を希望する男性に対する嫌がらせのことを言います。

嫌味を言われる、大きな仕事を任されなくなる、昇進・昇給が出来なくなる、人事評価を下げられる、異動や転勤を命じられる等、信じがたいハラスメントが実際に起こっているようです。

このようなモラルの低さが、より男性の育児参加を遠ざけている要因ともなっているように感じます。

 

Q9.育児休業取得率を上げる為の政府の取り組みを知っている?

日本政府は、男性の育児休業取得率を上げる為に様々な取り組みを行っているようです。しかし、それらの施策の内容や目標について「知らない」と答えた男性は64.9%。

正直これは女性である私も知りませんでした。取り組みを行っているのは事実ですが、多くの人に浸透するようなやり方ではないのかも知れません。今後もっと政府や民間企業により育児休業取得を周知する方法を考えて国民の理解を促すことがポイントとなりそうです。

 

Q10.男性の育児休業取得率を上げる為に何が必要だと思う?

 1位「男性の育休取得義務化」57.5%、2位「男性 の育休割り当て制度の法制化(男性しか取得できない日数を作る)」29.2%、3位「育児休業給付金の増額」 25.4%、4位「育休が取得可能なことの社内周知」21.3%、4位「代替要員の確保」(20.6%)との結果でした。

どれもウンウンと頷くものばかりですが、男性は女性よりも”義務化””法制化”というように、偉い人や上の人が決めてくれないと自ら動くことは難しいと考えている方が多いように思います。職場の人間関係を非常に大切にしていますよね。

Q8の回答のような現状により動きにくいということも気持ちは分かりますが、周りがやっていないから自分もやらない、となるといつまでも社会は変わらないことも事実。

協調性を重んじる日本社会や日本人の気質にはハードルが高いというのが現状でしょうか…

まとめ

この実態調査は2019年に行われたものなので、新型コロナウイルス感染症の流行が起こる前のデータとなります。コロナの影響により、今はまた働き方が大きく変わっていますから、これらの調査結果の割合も変化しているはずです。

在宅勤務やリモートワークを取り入れた企業も多くあり、これを機会に父親が子育てに参加する時間も必然的に増加していることを期待したいと思います。

前の記事へ

男性の育児参加、育休を推進する企業の取り組みについて

次の記事へ

父親の育児参加が与える影響について

関連記事

詳しく見る