子どもの嘔吐への対処法

2021年11月30日

病児保育

子どもは発熱や風邪、胃腸炎など、少しの体調不良で嘔吐してしまいます。また、ストレスが引き金となることもあります。
子どもは大人に比べ、消化管や代謝機能が未熟なために吐きやすいのも要因のひとつです。
大人でも嘔吐はとても苦痛です。それが子どもだったら、看病する親御さんはとても心配だと思います。ここでは子どもの嘔吐への対処法についてお伝えしたいと思います。

嘔吐時の対応

子どもが吐いてしまった時、親御さんはびっくりされると思います。子どもが仰向けに寝た状態で嘔吐した時は、直ぐに顔を横に向けて下さい。吐物の誤嚥による呼吸困難や窒息をきたす危険があります。子ども自身が楽な体位を取らせて安静を促します。座ることができるのであれば、ゆっくり体を起こしてあげて、吐きやすいように姿勢を調整してあげるといいです。
嘔吐後は口の中の味や匂いなど不快感を感じると思うので、うがいができる年齢の子どもであれば、水で口をゆすぐように促してあげて下さい。吐物は速やかに片づけ、換気を行うなど、さらなる嘔吐を誘発しないように環境も整えてあげましょう。
子どもは嘔吐したことにびっくりし、泣いたり怖がったりします。「大丈夫だよ」と優しく声を掛け、ゆっくり背中をさすってあげて下さい。安心させ落ち着かせてあげることも大事です。

嘔吐時、他に症状はないか確認をする

子どもの嘔吐にはさまざまな原因がありますが、嘔吐と同時にほかに症状はないか、訴えはないかを確認することがとても重要です。症状によっては早急に病院を受診する必要もあります。嘔吐した時の前後の症状、嘔吐の出現した時期、状態、吐物の性状などを十分に観察しましょう。
〇嘔吐した時に、頭を痛がっている場合や、嘔吐前の24時間以内に頭を打撲している場合は速やかに病院を受診して下さい。
〇感染性胃腸炎の場合は、発熱を伴ったり、下痢を伴ったりします。嘔吐の回数、下痢の回数に注意して下さい。ひどい場合は脱水症状を起こしてしまいます。
目安として、
・半日以上嘔吐を繰り返している時
・1日に5回以上の嘔吐と下痢がある時
・39度以上の発熱がある時
・尿の回数や量が減っている(8時間以上尿が出ていない)時
は早めに病院を受診して下さい。子どもの脱水は急に進行します。脱水症の症状として、顔が蒼白い、口腔内や唇が乾燥している、目がくぼんでいる、元気がなく、ぐったりしているなどがあります。
〇腸重積は嘔吐の他に非常に強い腹痛が生じます。生後数カ月~3歳くらいの子どもは注意が必要ですが、まだ小さいので自分で腹痛を訴えることができません。突然普段とは違う激しい泣き方をしていたり、うずくまっていたりするような状態がみられた時は直ぐに病院を受診しましょう。
〇吐物の性状の確認もして下さい。嘔吐を繰り返すと、食物の残渣がなくなり、黄色の胃液が多くなります。吐いたものに赤や焦げ茶色の血(コーヒー残渣様)が混じっていれば、消化性潰瘍、緑色であれば腸閉塞の可能性もあります。吐物を携帯電話やスマートフォンのカメラで撮影しておき、必要であれば病院を受診したときに医師に見せると診断の手がかりになります。
〇子どもはせきが強い時や、喘息発作がある時もよく嘔吐します。呼吸が早くなり、横隔膜が胃を刺激するためです。呼吸が荒く、苦しそうな時も迷わず病院を受診しましょう。

嘔吐物の処理の方法

感染性胃腸炎の場合は嘔吐物の処理時に親御さんが罹って(かかって)しまうことがほとんどです。兄弟がいる場合は兄弟にも罹ってしまいます。吐物が飛沫感染や空気感染を引き起こしてしまうので、家庭でできる感染予防の方法をお伝えします。
〇吐物を処理する時は、換気をし、使い捨てマスク、手袋を装着して下さい。この時、兄弟がいる場合は、別の部屋に移動させましょう。処理した後は、石鹸と流水でしっかり手洗いをして下さい。
〇衣類や寝具が吐物で汚染した場合は、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤)で除菌できます。家庭用塩素系漂白剤を使用する場合は、色物だと色落ちしてしまうものもあるので、注意書きをよく読み、規定量を守り使用して下さい。

何度か嘔吐を繰り返している時、また発熱や腹痛がみられ嘔吐が予測される場合は、嘔吐に備えて準備をしておきましょう。
〇牛乳パックを洗い、半分くらいに切ったものをいくつか用意しておく。子どもが嘔吐しそうになったら、そこに吐いてもらいます。牛乳パックは袋に入れ、しっかり縛り封をして、捨てます。牛乳パックが無いときは、小さめの紙袋にビニール袋を被せたものでも代用できます。この方法であれば、吐物が飛び散ることもなく、汚れも最小限に抑えることができ、処理も簡単です。
〇子どもが横になる時は、敷布団の上に防水シーツ、または子ども用の『おねしょシーツ』や、ペットを飼われているなら『ペット用のトイレシーツ』などを敷いて、その上にバスタオルを敷き、横にならせましょう。胃腸炎だと何度も嘔吐してしまうことが多いです。この準備をしておけば、寝具の汚染も最小限に防ぐことができ、洗濯も最小限に抑えることができます。感染を広げないためにも、事前に準備しておくといいと思います。

嘔吐時の水分摂取の方法

嘔吐後、水を飲むとまた直ぐ吐いてしまう。子どもの看病をしていて、そんな経験をされた親御さんも多いかと思います。嘔吐時の水分摂取の方法についての順序をお伝えします。
① 嘔吐直後は、水分を取らせてはいけません。胃を休ませるために、30分~1時間は安静にし、様子をみましょう。
② その後、嘔吐せず容態が安定しているのであれば、水(経口補水液が望ましい)をティースプーン1杯程度与えます。この時、ストローを使用しコップで飲ませることは避けて下さい。子どもは飲む量の調節をすることがむずかしいです。そのために勢いよくゴクゴク飲んでしまいます。そうするとまた振り出しに戻り、嘔吐してしまいます。
与える水分は可能であれば経口補水液が望ましいです。しかし経口補水液の味が苦手な子どもは、それがまた嘔吐の誘発になってしまいます。飲みやすい子ども用のイオン水でもいいですし、飲み慣れている麦茶でもいいです。麦茶の場合は、麦茶200mlに塩0.2g(ひとつまみ程度)を入れ振って作ったものをあげて下さい。
③ ティースプーン1杯の水分(一口程度)を飲んだ後、15分ほど様子を見ます。嘔吐がなければ、2口に増やし、3口、4口とゆっくり少しずつ時間を掛けて飲ませます。そうすることで、動きの悪くなった胃や腸の働きを改善させていくことが重要です。
④ 経口補水液を中止する基準は、排尿量の増加、尿の色が薄くなる、口の中や唇が潤っているなどが目安です。

嘔吐後の食事再開について

水分開始後、約2時間たっても嘔吐がなければ食事を開始して下さい。食事開始時の注意点についてお伝えします。
〇はじめは柔らかい炭水化物より食事を開始して下さい。消化吸収の良いおかゆや、柔らかく煮たうどん(うどんは短く刻む)、味噌汁や野菜スープのうわずみ、白身の魚などを少量からゆっくり開始して下さい。量は少しずつ増やし、2~3日かけてもとの食事内容に戻していきます。
〇胃に滞留しやすい、脂肪の多いもの、例えば牛乳などの乳製品、揚げ物やチョコレート、炭酸飲料や、胃に刺激を与える強い香辛料は避けましょう。繊維の多いサツマイモ、ごぼう、レンコンなどの野菜は消化不良でガスを発生しやすいのでこれも避けましょう。

まとめ

嘔吐は子どもの体力消耗や気分不快などの苦痛をもたらします。嘔吐の原因は数多くあり、それに伴う症状にも注意が必要です。原因を取り除き、治療を確実に行うとともに、二次的に生じる誤嚥や脱水などの予防と改善、気分不快の緩和をはかることが大切です。
普段と様子が違う、泣き方がいつもと違うなど少しでも親御さんが不安に思われる時は、かかりつけの小児科を受診するなどして早めの対応を取って下さい。

前の記事へ

1歳7ヶ月の娘が好きでお喋りを真似する絵本10選

次の記事へ

娘が生後0ヶ月で幽門狭窄症に。はっきりしない診断と発症から完治まで

関連記事

詳しく見る