パパママ必見!保育士が教える保育園のリアル

2022年6月20日

幼稚園・保育園

保育園にお子さまを通わせているお父さん、お母さん。
お子さまが保育園で何をして、どんな風に過ごしているのか知っていますか?
「1日の流れは何となく知っているけれど、ただ遊んでいるだけじゃないの?」
「保育士さんって、子どもと一緒に遊んでいるだけだよね?」
保育士である私が、実際に友人から投げかけられた疑問です。

答えは、「半分正解で、半分間違い」。
子どもたちは遊ぶことが仕事で、私たち保育士も一緒に遊ぶことが仕事です。
間違っているのは、ただ遊んでいるわけでも、子どもと一緒に遊んでいるだけでもないということです。

子どもたちは、遊びながらたくさんのことを学んでいます。
保育士も一緒に遊びながら、様々なことを学ばせてもらっています。

この記事では

1.保育園の1日の流れと、具体的な活動内容(0.1.2歳児)
2.なぜ?どうすれば?保護者から実際に聞かれた疑問10選
3.イヤイヤ期に効いた!?、保育士の声かけ10選
4.保育士から保護者さんにお願いできると嬉しいこと(真相10選)
5.コロナ禍でどう変化した!?保育園の感染対策の裏側

について書いています。

これを読めば、我が子がどんな風に過ごしているのか理解できたり、疑問に思っていたことの解決の糸口が見つかるかもしれません。今日から、「うちの子すごい!」「保育園に預けてよかった!」と思ってもらえるはずです。

<第1章>保育園の1日の流れと活動内容(0.1.2歳児)

※園によって活動内容や時間は異なります。一例としてご覧ください。

1日の流れは園によって異なりますので、一例として捉えていただければと思います。

ザクっと書いてみた保育園の1日の流れですが、改めて子どもたち、頑張っているな!すごいなと感じました。

子どもたちにとって、1日の大半を過ごす保育園。保育者やお友だちと過ごす集団生活の中で、小さいながらに様々なことを学んでいます。
生まれて、1、2年で出来ることがどんどん増えて、頼もしい子どもたちも、街で会えば「こんなに小さかったっけ?」と不思議な感覚になります。
子どもってすごい!と保育者である私も驚かされ、新たな可能性を発見する毎日です。
それと同時に本当に愛おしい存在ですね。
ぜひ、頑張っているお子さんをぎゅーっと抱きしめてあげてくださいね。

さて、そんな何気ない保育園での毎日。お家の人が保育園にお迎えに来られたら、いつもの帰りのご挨拶。そして、その日の出来事を伝えます。

(先生)「今日はこんなことが出来たんですよ!」
(先生)「いつも◯◯くんは、〜してくれてステキですね」

家では見られない、子どもの姿。伝えてもらうのは嬉しいと思います。
それと同時に思うことがあるという私の友人。

(友人)「えー!家では全くそんなことしないじゃん!』
(友人)『そんなことできるの?ママにもみせてほしいよ〜!』

集団生活の中で、色んなことを学び、どんどん成長していくのは嬉しいけれど、なんで家では出来ないの?そう思うのは当然のことだと思います。

子育ての悩みは尽きないですよね。

そんな子育てママ・パパに向けて、保育士である私が、実際に今まで聞かれた疑問について回答します。保育士の子どもたちへの声かけの仕方、実際にどのような場面でどんな風に接しているのか。また、保育の中のこれってどういうこと?というちょっとした疑問にもお答えします。これを読めば、「あー!そういうことだったのか!」と思えたり、明日からの子育てが少し楽になるかもしれません。

<第2章>なぜ?どうすれば?実際に保護者に聞かれた疑問10選

Q1.家ではうろうろして、中々座って食べてくれません。どうしたらいい?

A1.保育園でも、入園したばかりのお子さまに、食事中に席を離れてしまう子がいます。
しかし、園では同じ年代の他の子が座っているという環境があります。そしてとにかく、繰り返しの声かけです。

「ごちそうさまをするまでは、座って待とうね。」

めげずに繰り返すのみです。
お家でできる環境づくりとしては

・テレビを消す、玩具を片付けるなどして、食事に集中できるようにする
・床に座らず、椅子に座って食事するようにする
・大人の方針を統一する(両親が徹底していても、祖父母が立ったまま食べさせるという事例もあり、子どもは混乱してしまいます)
・食べ終わっていないが、遊び出している時には「ごちそうさま」をして、食事終わりの区切りをつける

などが挙げられます。

Q2.園では食べると聞いたものも、家だと好き嫌いをし、苦手なものは中々食べてくれません。

A2.無理に食べさせる必要はないと思います。いつか食べられるようになったらいいなくらいに、ゆったり構えていただきたいです。家では食べないけれど、園では食べる。これは、友だちや先生と一緒に食べるという環境の変化からくるものもあると思います。

「◯◯ちゃん、大きなお口で食べられるんだね!すごいな!」

と声かけをしていると、隣の子も負けじと口を開けていたり、

「トマトはとんとんとんのトマトだね!赤くてかわいいね」

と日頃行っている手遊びや絵本から、親しみが持てるように声かけをしてみると、食べてくれたり。保育園ではよく見られる光景です。それを「保育園で食べているんだから、お家でも食べなさい!」と食べさせても、その子にとっては無理やり食べさせられた嫌な思い出として残るだけでなく、もっと嫌いになる可能性もあります。

「保育園で食べられたんだね。すごいね。」

その褒め言葉一つで十分です。送迎時に子どもの目の前で

「今日はトマトを一口食べられたんですよ。」

と伝えると

「今日もママに食べられたって言ってね」

と次の日も食べ、その内、味に慣れて食べられるようになることも多いです。
”保育園で食べられているならいいか”くらいに思ってもらっていいと思います。

お家でもできることは

・お家の人が子どもがなぜその食材が嫌いなのか理解しようとすること

だと思います。
例えば、ゴーヤが嫌い、トマトが嫌い。こんな子どもが多いのは、本能的に苦味や酸味は危険な食べ物だと察知する能力が人間には備わっているからだといわれています。大人は何度か食べて安全だと分かっているから食べられるということ。経験って大事なんですね。

食べてみようかな、食べるって楽しいなと思えるような活動として

・料理の手伝いをしてもらう
・一緒に買い物に行き、子どもにどれがいいか選んでもらう
・様々な食べ物の絵本を見たり手遊びをする
・絵を描いたり、食材を使ったクイズをする
・家族で食卓を囲み、大人が美味しく楽しく食べる

などが挙げられます。親しみをもち、”これ知っている”が増えると、”食べる”に繋がることもありますよ。
”食べないから、食卓に出さない”ではなく、”食べないかもしれないけれどお皿に盛る”ことも親しみを持てるようになる一つの方法です。

Q3.なぜ朝のおやつの時間があるのですか。

A3.小さな子どもは1日に食べられる量が限られています。必要な栄養が不足するため、水分補給も兼ねて、おやつという形で補っています。そのため、甘いお菓子などではなく、おにぎりやヨーグルト、塩気の少ないおせんべいなどが出されます。胃が小さい分、こまめに補給することが大切なんですね。

Q4.遠足のお弁当は何を入れたらいいですか?

A4.食事繋がりで、こちらもよく聞かれる質問です。私個人の意見ですが、答えは1つ!お子さまの好きなものを食べ切れる量だけ詰めてあげてください。「彩りが・・」とか「保育園で食べてくれるならトマトも入れちゃえっ!」なんて思ってしまいがちですが、彩りとか、どう思われるかとか考えるのはやめましょう。子どもが楽しみにしていた遠足です。お弁当も美味しく、楽しく食べてほしいですよね。キャラ弁も流行っていますが、可愛くすることに目がいきすぎて、ご飯の量が多くなってしまいがちです。食べやすいもの、好きなもの、これが大事だと思います。”お家の方が作ってくれる”お弁当は子どもにとって何よりも嬉しいものです。

Q5.トイレトレーニングの方法が分かりません。どのくらいの間隔で?どのくらいの時期から始めるの?

A5.保育園でのトイトレの進め方をお伝えすると、2歳になる頃から始める子が多いです。(もっと早い子もいれば、遅い子もいます。個人差がありますよ)
2歳になったから始めるのではなく、毎日同じ時間帯におむつを交換して、濡れていないことが増えてきたら、トイトレ開始の合図です。
冬場は濡れると冷たいので、夏場がおすすめです。(洗濯物も乾きやすいですし!)
40分〜1時間おきくらいに、トイレに誘っています。タイミングよくトイレで排尿できた時には十分に褒め、一緒に喜びあうことで自信に繋げていきます。最も重要なことは、もし失敗しても、怒らないことです。

保育園では
「濡れちゃったね。気持ち悪かったね。」「おしっこが出る時は教えてね。トイレでしようね」「おかわりパンツはどれにしようか?」

子どもの気持ちに寄り添うこと、失敗しても大丈夫!と思えるような声かけを心がけています。決してトイレに無理強いしてはいけません。
はじめは午前中だけ、成功したら午後も・・と少しずつ布パンツで過ごす時間を増やしていっています。

とは言っても、1時間に1回なんて・・となりますよね。お家の人がストレスになってしまってはいけません。少しでもストレスを減らす方法として

・トイレに楽しいことを準備する(好きなキャラクターのポスターを貼る、トイレに座ったらご褒美シールを貼る)
・子どもが好きなキャラクターパンツを買う、一緒に買いに行く
・外出時、お昼寝はおむつOK

などが挙げられます。

おむつがはずれる日はきますので、焦らず、ゆったりと構えて進めていきましょう。

Q6.友だちを噛んだり、叩いたりしていませんか?

A6.0.1.2歳児のクラスではよくある事例です。

噛み付くことに関しては、0歳児では何でも口に入れる時期があります。大きいのか小さいのか、固いのか、柔らかいのか、どんな形なのか、口の中に入れて確かめています。また、歯が生える前兆で歯茎がかゆく、何でも噛むようになります。この対処法としては、歯固めや、歯茎のマッサージなどがおすすめです。

1.2歳児になると友だちとのトラブルから、叩いたり、噛み付くことが増えてきます。理由は、口で言うより噛んだ方が数倍早く嫌な気持ちが伝わるからです。「やめて」「(玩具を)取らないで」「今使っているから待っててね」これらの言葉がまだうまく言えないから、叩いたり、噛みついてしまうのです。
もし、園でお友だちを叩いたり、噛みつきがあった場合、まず尋ねるのは「どうしたの?」です。その現場を見ていたとしても、これを聞き、子ども自身に気持ちを整理してもらいます。単語が話せる子なら「(友だちの方を見ながら)取った」と伝えてくれたり、欲しかった玩具をじっと見つめたりします。「なんで噛んだの!」「叩いたらダメでしょう!」と言いたくなるところですが、噛むこと、叩く方にも理由があります。それを聞いた上で、理解を示し、「そうだったんだ。嫌だったね。でも、噛むのはよくないよね。お友だち、痛かったよ」と話をします。「貸してって言おうね」「取らないで、待っててねって言葉で伝えようね」と繰り返し伝えるのみです。はじめに気持ちに寄り添うことで、その後の言葉に耳を傾けてくれるようになります。

もう一つの噛みつきの原因として、精神的ストレスも挙げられます。
今まで関わってきた中で、何もしていない、されていないのに、通りすがりに噛み付いてしまうお子様がいました。環境が変わったなどの原因から、理由もなく噛みついてしまうケースもあるそうです。確かに新入園児さんだったので、ストレスが大きかったのだと思います。園にすっかり慣れた頃には、噛みつきもなくなりました。
このような時には、ただただストレスを発散できるようにしていくことが大切です。
外で思いきり遊ぶなど、発散できる方法を見つけていきましょう。

Q7.友だちと一緒に遊べていますか?

A7.0.1歳頃の小さな子には友だちと一緒に遊びたい!一緒に遊ぶと楽しい!という気持ちがまだ芽生えていません。保育士である私が、気が合う子を見つけたな、最近一緒に遊ぶことが増えたなと感じるのは、2歳頃の子どもが多いです。気の合う友だちが登園してきたら、駆け寄って行ったり、手を繋いだり、向かい合って同じ遊びを楽しんでいたりします。これも個人差がありますし、もちろん一人の時間が好きな子もいるので、このくらいの年齢で、お迎えに来られる度に一人遊びをしていても気にされることはないと思います。一人でじっくり遊び込めることも、素晴らしいです。3歳頃になっても、あまり輪に入っていかないなと気になった子は、みんなで遊ぶあそび(鬼ごっこ、椅子取りゲームなど)に保育者と一緒に参加してみたり、「一緒に遊ぼう」と子どもに誘いかけてもらうなどして、友だちと一緒に遊ぶ楽しさを感じられる機会を設けます。恥ずかしい、うまく輪に入っていけない子もいるので、その子の性格を考えながら対応していきますよ。

Q8.家ではお昼寝をしません。保育園ではどんな風に寝かしつけているの?

A8.保育園で過ごしていると、生活リズムが形成されていきます。11時すぎ頃から給食を食べて、12時すぎ頃から午睡の園がほとんどだと思います。朝からたくさん遊んで動き、天気のいい日には陽の光を浴びて、お腹が空いた子どもたちはモリモリご飯を食べ、眠たくなる。あとは保育園という環境も、よく寝るポイントでしょうか。友だちもみんな寝ている、静かな空間、隣の子の寝息を聞いているといつの間にか寝ちゃっています。
園での午睡中の環境は

・カーテンを閉める、電気を消して部屋を暗くする
・オルゴールをかける
・その子に合った関わりで眠りに誘う(体をトントンする子、額を撫でる子、耳たぶをさわる子など)

です。もちろん今日は何をしても寝ないなということもあります。そんな時は、側につき、横になって体を休める時間にしたり、静かに遊ぶ時間に切り替えます。

Q9.登園時に、遊具で遊びたがり、中々保育園に辿り着けません。

A9.登園を渋り、車の中で駄々をこねている子、「遊ぶー!」と言って中々滑り台から降りてこない子、いますよ。お家の方は、お仕事の時間がありますし、お急ぎのことと思います。
遊び始めたら手がつけられませんよね。子どもの行動を予測して「1回滑り台したら行こうね」など事前に約束をしておくといいことも。目を見て、しっかり伝えることが大切です。車から降りられないのであれば、泣いていても抱っこして連れてきてください。「ママはお仕事に行ってくるね」の言葉を添えて、ぎゅーっと抱きしめるのもおすすめです。それでも、泣いて手がつけられない時があると思いますが、ママと離れるのが嫌だ!が一番の原因だと思いますので、まずは共感することが大切です。「そうだよね。寂しいよね。ママも一緒にいたいけど、お仕事があるからね。終わったら迎えにくるよ。」1歳児にそんなこと言っても!?と思うかもしれませんが、子どもはちゃんと分かっていますよ。お家の方が心配な気持ちは子どもに伝わり、不安になります。あとは気持ちが落ち着き、切り替えられるようプロの保育者に任せてください!心を鬼にしてスパッと「行ってきます!」をお願いしますね。

Q10.何を言っても”イヤイヤ期”どうしたらいいですか?

A10.ごめんなさい。あきらめましょう。だって、イヤイヤ言いたいんですもの。言わせてください。そして、受け止めてあげてください。「嫌なんだね、分かったよ。」それだけで大丈夫です。子どもが嫌と言って、それをまるっと受け止めてあげられるのは家族だからこそです。受け止めてあげることで心の安定、自己肯定感を高めることに繋がるといわれています。しかし、危険な行為をしようとしている時や、他人の迷惑になることなど、してはいけないことは、必ず理由を説明し、はっきりいけないと伝えることも大切です。
そして、イヤイヤを受け止める人はきっと、体力的にも精神的にも”どっと”疲れがたまると思いますので、周りの人に甘え、助け合うことで、自分も大切にしてください。決して1人で頑張りすぎないで下さいね。いつか必ず終わります。

ここまで、よく聞かれる質問10個にお答えしました。
子育てに正解はありませんが、保育園ではこうしているよ、保育士としてこう思うということをまとめてみました。大切なお子さまのことなので、様々な場面で壁にぶつかり、悩むことは当然のことだと思います。そんな時、子育てのお手伝いをさせてもらっている保育士としては、ぜひ頼りにしてほしいなと思っています。些細なことでも、「保育園ではどうですか?」と気軽に尋ねてくださいね!

<第3章>「イヤイヤ期に効いた?!保育士の声かけ10選」

ただでさえ慌ただしい毎日を送られているお家の方を悩ませる”魔のイヤイヤ期”。
何をしても、何を言っても気に食わず、こたえは「イヤッ!」。見えているものは全部自分のもの。他人のものをとる、自分が一番じゃないとダメ。何でも自分でする!(上手く出来ないけれど)。気持ちの余裕がある時は、受け止めてあげられることも、急いでいる時や、余裕がない時は、「昨日まではよかったのに、何で今日は嫌なの〜!?」「私もイヤーッ!!」と頭を悩ませることと思います。毎日の育児、本当にお疲れさまです。
保育園でも毎日どこからか聞こえる「イヤッ!」の声。
担任の先生はあの手この手で、気持ちの切り替えを図ったり、魔法の言葉で笑顔にしています。上手くいった事例を挙げながら、どんな魔法を使ったのかお伝えしていきますね。イヤイヤ期のあの子にぜひ試してみてください。

エピソード①ズボン、パンツを履くのがイヤッ!

トイレに行ったのはいいものの、「おむつは履かない!ズボンもいらない!」と逃走。戻ってきたと思ったら、おむつをとって「ポイッ!」と投げました。
「今日も元気だな」と思いながら、一言。
ズボンを持って穴からのぞきながら「あれー?今日は足さんいないのかな?」「ここから出てくるって聞いたけど。おーい!足さーん!」
逃走していた子が、笑顔で戻ってきて「はーい!」と片足を入れ始めました。ここで気を抜いてはいけません。それと同時に「あー!いたの、足さん。こっちにおいでー!きたきた、出られるかな?(すぽっ!)やったー!」とハイテンションで実況中継です。これを片足ずつなので2回繰り返します。

エピソード②洋服に着替えるのイヤッ!(パジャマなのに、汚れているのに)

「パジャマから着替えるよ!」「汚れているから、お洗濯しようかな!着替えよう?」答えは・・「イヤッ!」(ですよね)と思いながら、洋服販売員の気持ちに切り替えます。
「いらっしゃいませ、本日はセールとなっております」「そこの可愛いお客様にピッタリのお洋服ございますよ。ピンクのフリル付きTシャツ、アンパンマンTシャツ、どちらもお似合いになられると思いますが、どちらにされますか?」
この誘いに、ほとんどの子が「こっち!」と指をさしてくれます。「試着をどうぞ〜!」といつの間にか着替え「わあ〜!とてもお似合いです!」と拍手すると、満面の笑みで返してくれます。ここでのポイントは、何を着るか、どうやって着るか(自分で着るか、手伝ってもいいのか)を自分で選ばせることです。

エピソード③上着を脱ぐのがイヤッ!

「お部屋の中は温かいから、カーディガン脱いでおこうか?」「たくさん走って汗かいたから、一枚脱ごうか?」答えは・・「いやっ!」

ここでは、2パターンご紹介します。
1つ目は「(まずは自分が1枚脱いで)今日の先生のお洋服はいちごがついているんだよ。可愛いでしょ!」〇〇ちゃんのは?(すぐにその子にはふらない)えー!ママが買ってくれたの?似合うね」と何人かに聞いていると、自分から「〇〇のはこれだよ」と脱いで見せてくれています。

2つ目は、役者になりきりましょう。「あれっ、このボタン(チャック)難しいな、〇〇ちゃん手伝ってくれない?」と自分(大人)が脱ぐのを手伝ってもらう。その後、「ありがとう、助かったよ。もしかしてこれもできる?」とその子が着ている服のチャックやボタンが外せるか聞いてみると、あら不思議。「できるよ!」と得意顔で脱いでいました。

エピソード④トイレに行くのはイヤッ!

保育園では「トイレに行くよ!」と時間を見て、みんなに声をかけて誘います。いつも「イヤッ!」と言って逃走する子へ一言。「〇〇くん、〇〇ちゃんをおてて繋いで連れて行ってくれない?」すると、「いいよ」とのこたえが返ってきました。そして、トイレまでたどり着いた流れで、すんなりズボンを脱ぎ始めました。お家だと「ママもトイレに行きたいから、一緒に行こう?」と手を差し出すといいかもしれません。

エピソード⑤片付けはしない、イヤッ!

お片付けの歌が始まると、みんなでお片付けが始まります。そんな中、まだ遊んでいる子や、片付けをせず、ウロウロしている子もいます。保育士が声をかけると「イヤッ!」。
しかしこれではどうでしょう。「赤色のブロックを持ってきてほしいな」「あったよ!」「このおもちゃ、どこに片付けるんだっけ?分からないから、教えて?」「いいよ!」あっという間に片付きました。子どもも大人も頼りにされると嬉しいんですね。

エピソード⑥給食食べない、イヤッ!

「さあ!給食だから、手を洗って座ろうね」「イヤッ!」
「そっか、じゃあ、食べたくなったら教えてね」
一度受け入れること、待つことも大切です。
みんなが食べ始め、こちらを見ながらも動きません。
「いいにおいだね、食べる?」と聞くと「うん!」
手を洗い、嬉しそうに食べ始めましたよ。
美味しそうなにおいと、楽しそうに食べる友だちを見ていると食べたくなりますよね。
自分が嫌と言った手前、「やっぱり食べる」とは言い出せないものの、きっかけ待ちだったりすることも多いです。お家の人に置き換えて実践してみてください。

エピソード⑦外遊びから家(園)に帰るのイヤッ!

「給食の時間になったよ、お部屋に帰るよー!」「イヤッ!」と逃走です。

①その子より年下のお友達を「おててを繋いで、お部屋に連れてきてくれる?」と頼む
②「今日の給食、カレーだって!」と具体的なその子の好きなメニューで誘う
③「来てきて!虫さんがいる」「あそこには可愛いお花が咲いているよ」と少しずつ室内へ誘導していく
④家まで競争する、だるまさんが転んだをしながら帰る
⑤家まで何歩あるか数えながら帰る
⑥「もうすぐ帰るけど、あと何をして遊ぶ?」と子どもに決めさせる

エピソード⑧「お布団に入って寝ようね」「イヤッ」_

これに関しては、まだ眠たくないという理由もあるかもしれません。この場合は太陽の光を浴び、たくさん遊んで疲れることにつきます。眠たいけれど「いや」と言いたい時には、間にクッションを挟みましょう。眠る前のお楽しみを作るのです。保育園では寝る前に1冊絵本を読んでいます。お家なら、今日の絵本を自分で選ぶ楽しさも見つけられると思います。お気に入りのパジャマに着替えるなども良いかもしれません。気分転換を図ることが大切なのですね。

エピソード⑨手を洗うのイヤッ!

手洗いのおすすめは泡石鹸。ふわふわな泡の感触は子どもにとっても魅力的です。
雪だるまを作ったり、おもちを作ったり楽しく遊びながら、丁寧に洗えるようにしましょう。”あわあせっけんの歌”もおすすめです。歌に合わせて、楽しく、洗い方や洗う順番を覚えることが出来ますよ。
他には、「手にバイキンマンがいる!洗わなくちゃ!」と一緒に洗います。洗い上がりには、「バイキンマンがいなくなって、ピカピカになったね!」と綺麗になった心地よさを感じられる言葉を添えるようにしましょう。嬉しそうに手のひらを広げて見せてくれますよ。

エピソード⑩今はこの遊びがしたいのっ! それは出来ないよ! ぎゃーーっ!

大人がしてほしくないことを、遊びにするのが得意な子どもたち。
おもちゃを投げたり、コンセントにゴミを突っ込んだり、ソファでひたすらジャンプしたり・・どうしてそんなことをするのか、考えただけで疲れてしまいますね。
好奇心旺盛な子どもに「やめて!」「しないでって言ってるでしょ!」と言っても効果は0です。やめてと言われれば言われるほどやりたくなるのが人間の本能なのでしょうか。
効果的なのは、やりたいという気持ちを別のアイディアで発散させてあげることです。
「やめて」ではなく「それはしてほしくないけど、これならしていいよ」に声かけを変えてみてください。
先ほど例にあげたものでお伝えすると

①おもちゃを投げる→ボールは投げて良い
②コンセントにゴミを入れる→ぽっとん落としや型はめ遊びを提案する
③ソファをジャンプ→トランポリンをジャンプ
といった形です。

ここまで、10個のエピソードを紹介しました。
そもそもイヤイヤ期とは自我の芽生えと言われています。
脳が成長している証なんですね。
”自分の育て方が悪かったのか?””このままだとわがままな子に育ってしまうのではないか?” と悩んでしまうこともあると思いますが、どうか思い詰めないでくださいね。
イヤイヤ期には必ず終わりがきます。
たくさん甘えさせることで、自己肯定感も高まりますので、その子の気持ちを一旦「嫌なんだね、分かったよ」と受け止めることを大切にしてください。
そして、お家の方のリフレッシュも忘れずにしてくださいね。「イヤイヤ期なんて、みんな乗り越えてきているんだから、こんなことで・・」と思わず、周りの人に助けを求め、子どもから離れる1人の時間を作ってください。

今回のエピソードを頭の片隅におき、実践してみてはいかがでしょうか?

<第4章>「#保育士から保護者さんにお願いできると嬉しいこと(真相10選)」

一時期、 sns内で話題になった#保護者さんにお願いできると嬉しいこと。
”保護者さんに協力していただけたら、保育士はとても助かります”という、ちょっとしたお願いです。ここでは、なぜそんなお願いをするのかの真相をお届けします。

①全ての持ち物に記名をお願いします

これ、繰り返しお伝えしているのですが、実際にしていただけているのは、全体の3割ほどだという認識です。
きっと”すべて”というざっくりした言い方なのも原因の一つだと思うので、これだけは本当に! 絶対! 名前を書いて! というものを細かく、理由も添えてお伝えします。

◎靴下1足ずつ

朝登園してきて、小さな子どもは滑る危険がないように靴下を脱ぎます。その時に自分で脱いでポイポイっとお部屋に落ちていたり、気が利く子が友だちの分までまとめて持ってきてくれて、名前がないと「誰の〜?」となってしまいます。登園時に何を履いているのか確認するのがベストですが、登園時間が重なってしまうと、なかなかそこまで目が行き届かないのが現状です。

◎おむつやパンツ、ズボン

トイレに行った後、自分で履けるようにしていくのですが、おむつ入れから自分でとった際に、本当にその子のものなのか確認します。おむつの前部分に名前を書いてもらえると、それを目印に前後を確認して履くことにも繋がります。また、トイレは数人一緒に行くので、便座に座ってパンツを下ろす前の段階では、子どもたちが一斉にズボンもパンツも脱いでからトイレへ行きます。同じ黒のズボンだったり、同じ柄のパンツなんてことは、よくあるので、「どっち?」となった時のために、記名をお願いします。

◎遠足の際の準備物、一式

遠足には、保育者も子どもも見慣れない色んなものを持ってきます。よく名前がないのは、フォークやスプーン、お箸など。それらを入れるケースには名前があっても、中身には書かれていないことが多いです。普段の椅子、机ではなく、シートに座って食べるお弁当の時間では、物が散乱して迷子になるものが多いのです。シートも、裏ではなく表面に大きく記名していただけると、一目で誰のものかが分かるので、「〇〇ちゃんは、ここに座ってね」と声かけしやすいので助かります。
小さいクラスであれば、お弁当や水筒を配布しやすいように登園してきた時間に1つにまとめてしまうことが多いので、(1人ずつリュックから出していると時間がかかってしまうため)水筒やお弁当袋の上部に記名があるとありがたいです。

②お迎えに来る方がいつもと違う時には、必ず事前にお知らせください

いつもお迎え来られる方であれば、連絡はいりませんが、あまり迎えにきたことがない方(祖父母やおじさん、おばさんなど)が来られる際には、一言「今日はおじいちゃんがお迎えにきます」などと言っていただくと助かります。連絡をいただいていない場合には、防犯上、お家の方に確認の連絡をとってから、お子様をお返しすることになります。「一回迎えに来たことがある」とおっしゃられることもあるのですが、その時に対応した職員が必ずいるとは限りません。延長保育を利用する子であれば尚更、どの職員が送り出すかも分からない(担任ではない可能性も高い)ので、「今日は〇〇ちゃんはおじいちゃんのお迎えです」と一言あるだけでスムーズです。

③お仕事がお休みの時は必ずお知らせください。

もし、お子様の発熱などで職場に急な連絡を入れ、「今日は休みです」と言われた時の気まづさ・・。休み、もしくは携帯に連絡を、と一言お願いします。休みだと言いづらいかもしませんが、保育士は保護者様もサポートするのも仕事です。休みのリフレッシュも大切なことだと理解していますよ。

④登園時の「行ってらっしゃい」は笑顔でお願いします

登園時泣いている子どもを預けるのは、胸が痛むことだと思います。しかし、何度も戻ってきたり、離れられずにいると、子どもは「もしかして帰れるかも?」なんて期待を抱いてさらに泣いてしまうことも。また、お家の人が不安そうな顔でいると、子どもにも伝わり、不安になってしまいます。保護者の方が見えなくなり、保育者に抱っこしてもらったり、遊んでいるうちに気持ちを切り替えられることも多いです。ぜひ、保育者を信じて、「楽しんできてね!」と笑顔で行ってらっしゃいをお願いします。

⑤連絡ノートには必ず記入をお願いします(0歳児)

睡眠時間や、朝食の内容、排便の有無の記入は、必要です。1歳児以上や、ノートがない場合は、気になることがあれば、登園時に一言、もしくはメモでも大丈夫です。言葉が話せない子どもたちは、泣いて気持ちを訴えることが多いです。なんで泣いているのかを探る時に、連絡ノートを頼りにします。”昨日あまり眠れてないから、眠たいのかな””朝のミルクあまり飲めていないから、お腹が空いたのかな”と、子どもの欲求をスムーズに満たせるきっかけとなります。また、”朝、機嫌が悪い”とか、”いつもより少し熱が高め”などの情報があるだけで、いつもよりも気にかけて、熱をこまめに測ったり、お迎えの時に細やかな様子をお伝えすることができます。

⑥登園は9時半頃までにしてくださると助かります

お仕事の都合上どうしても遅くなるという方もいらっしゃいますが、できるなら9時半頃までに登園していただきたいです。保育園には決まった生活のリズムがあります。遅く来たから、「給食は遅く食べようね」とはいかないのです。ほとんどの園は10時から、主活動が始まります。その前に、朝の取り扱いやおやつの時間があります。遅く登園してきた子は、その流れに上手くのれず、外で遊ぶ時間が十分にもてず、満足できない、お腹が空かないのに給食の時間になるといったことになってしまいます。子どもの園でのリズムを考えてくださると嬉しいです。

⑦自分で脱ぎ履きしやすく、汚れてもいい服を着てきてください!

2才頃にやってくる、なんでも”自分で”の時期。
そんな時にストレッチ性のない、デニムのズボンを履いていたとしましょう。
自分でしたいのに出来ないという歯痒さから、イライラしてしまいます。せっかく自分で出来るようになってきて、自信がついてきた頃なのに、衣服のせいで出来ないのはもったいないですよね。ぜひ、ストレッチの効いたズボンを履かせてくださいね。
そして、たまにブランド物の服を着てくる子がいるのですが、保育園では汚れを気にせず思い切り遊んで欲しいと思っています。泥や絵の具がついても大丈夫ですか?保育者も気にしてしまい、遊びを制限してしまうことにも繋がりかねませんので、ぜひ、汚れてもいい服(もちろん、汚れたら洗いますが)をお願いします。

⑧運動靴での登園をお願いします

最近多いのはクロックスで登園してくる子。クロックスは脱げやすく走りにくいため、外で遊ぶには危険です。もしクロックスで登園して来られたら、安全のためジャングルジムや滑り台など大型遊具の使用を禁止します。もし、登っている途中で脱げてバランスを崩したら・・なんて考えるとゾッとします。登園時に雨が降っていたからと長靴で登園してくる子もいますが、もし、昼は晴れ予報なんて時は靴も一緒に持ってきてくださると助かります。「クロックスしか履かない」という子どもさんの主張であれば、靴箱に靴をもう一足置いてくださると、保育園で遊ぶ時には靴を履くように対応しますよ。

⑨朝食はお家で済ませてきてください

最近増えてきているのが、何も食べてこない子です。寝起きのまま連れてこられ、気付いたら保育園、なんて子も。朝の食事は1日のエネルギー源です。給食までお腹が持たず、機嫌悪く過ごしたり、ぼーっとしている子もいます。じゃあ、と手におにぎりやお菓子を握ってくる子もいますが、他の園児もいることやアレルギーの関係を考慮し、園で食べさせることは出来ない園がほとんどだと思います。朝ご飯を食べるポイントとしては、起きたら日光を浴びて目を覚ますことです。寝起きのままでは、中々食事も進まず、忙しい朝の時間はイライラしてしまいますよね。日の光を浴びて、体と脳が目覚めてから食事の時間にするとスムーズにいくことが多いです。そのためには、早寝早起きのリズムを作ることが大切です。食事の内容はおにぎりやバナナなど毎日一緒で構いません。大切なのは何かお腹に入れることです。お子さんが爽やかな1日のスタートを切り、思い切り遊びを楽しめるように朝食はしっかり食べて登園してくださいね。

⑩子どもと約束したお迎えの時間は守ってください

朝バタバタして送り出す時に限って、子どもがぐずったり「早くお迎えに来て!」と言われたりしますよね。そんな時に、その場しのぎで「分かった、分かった、早く来るね」と言っていませんか?実はこれ、絶対にしてはいけません。その約束をしたのにもかかわらず、いつも通りに迎えにきてしまえば、子どもは「ママは嘘をついた」と思うのです。「じゃあ、僕も嘘をついていい」ということになってしまいます。保育園は一定のリズムで動いているので、時間が分からない子どもでも「おやつを食べて、しばらくしたらお迎えの時間」「延長保育のお部屋に移動したら、すぐにお迎えの時間」などと分かっています。「早く迎えに来て!」と言われたら、共感し、事実を伝えましょう。「そうだよね。ママも早くお迎えに来たいな。でもお仕事が終わらないと来れないから、頑張ってくるね。」など。また、何時にお迎えに来ると明確に時間を示した場合、子どもは楽しみに待っています。1日に何度も「今何時?」と聞いています。お子様との信頼関係はとても大切です。子どもだからではなく、1人の人間として約束はきちんと守ってあげてくださいね。

保育士から保護者様にお願いできると嬉しいことの中でも、私自身も、これこそは! と思うものを抜粋しました。なぜお願いしたいのかの裏側には、全て”子どものため”という理由が隠れています。子どもを大切に思う気持ちは一緒です。ぜひ、子どもたちのために協力していただけるとありがたいです。

<第5章>「コロナ禍でどう変化した?保育園の感染対策の裏側」

世の中がコロナの影響により、様々な変化があったここ数年。
保育園でも、子どもたちの過ごし方、保育士の仕事内容に大きな変化がありました。
保育園での感染症対策って何をしているの?という疑問もあると思います。
この章ではマスク事情以外にも、気をつけている取り組みを一つずつお伝えしていきますね。

①2〜5歳児のマスク着用

コロナが蔓延してすぐの頃は3歳以上だったのが、国の方針で2歳以上のマスク着用になりました。それに従って、保育園でも2歳児からマスクの着用をお願いしています。
戸外遊びの際や、運動会の練習などの時には状況に応じてマスクを外して活動したり、こまめに休息をとるようにしています。また、自分たちできついと思ったら、マスクを外して日陰で休憩をとるよう繰り返し伝え、保育士もこまめに声をかけながら過ごしています。感染拡大防止のため、クラスごとに時間をずらして、戸外で遊んだり、一方は砂場、もう一方は固定遊具など、密にならないように配慮しています。異年齢児での交流の機会がぐっと減ってしまったことは気になる点です。

②マスクをしていない時の対応

◎給食の時間
給食の時間は、1つの机に数名座って食事をとるため、パーティションを設置しています。また、席を固定し、基本的に黙食です。3歳くらいから、きちんと理由を説明し、「食事の時間は静かにしようね」と繰り返し声かけをしています。割と理解し、静かに食べることが出来ているのですが、楽しい食事の時間が奪われ、心苦しいです。保育士も以前は一緒に食事をとっていましたが、完全に別の部屋で順番に替わりあって食べています。子どもたちの前でマスクを取るのはNGです。使い終わったパーティションは1つ1つアルコール消毒しています。

◎午睡時
2、3歳児は毎日午睡の時間があります。その際は、給食時に同じテーブルや隣のテーブルに座っていた子の近くに布団を敷きます。毎日、座っていた場所や寝た場所を記録し、もし感染者が出た場合にも速やかに対応できるようにしています。

③こまめな検温

登園時、午睡前、おやつ時、夕方、降園時とこまめに検温をし、記録しています。コロナ禍になり37.5度以上が連絡熱になった園も多いのではないでしょうか。もちろん平熱が高い子は配慮しますし、もし園で37.5度になったとしても、水分補給をさせ、しばらく経ってから再度検温し、それでも下がっていない場合、保護者へ連絡をするようにしています。熱が出た次の日は必ず休まなければならない園もあるようです。

④手洗い、消毒の徹底
子どもたちは登園してきたらまず手洗い、消毒をしています。また、戸外遊びから帰ってきた時、給食やおやつ前、トイレの後など、以前からしてはいたものの、より手洗いを徹底し、必ず消毒もセットで行うようになりました。石鹸は泡石鹸を使うことで、楽しんで洗えています。手洗いが上手く出来ない子は、保育者が一緒に手を添えて洗うようにし、手洗いの歌を歌ったり、洗う順番を知らせながら丁寧に行うようにしています。

⑤簡易手袋の導入
保育士は、朝・昼のおやつ、給食前は必ず手洗い、消毒、簡易手袋をして、つぎ分けたり配膳するようにしています。3、4、5歳児は以前は自分たちで給食を取りにきていたのですが、職員が一人一人の机まで配膳するようになりました。おかわりをする時や片付ける時も同様です。

⑥共有物の私物化
例えば帽子。個人で購入するところもあれば、2歳以下の子どもたちは園の帽子をかぶるという園もあります。完全に個人で購入してもらうことにしたり、園の帽子であれば、1つずつ名前をつけ、他の子がかぶらないようにします。使用後は洗濯、除菌、天日干し。少しでも感染リスクを減らすため、徹底しています。

⑦部屋、玩具の消毒・除菌
朝、昼(午睡時)、帰りの1日3回消毒をしています。窓、柵、壁、床、椅子、ロッカー、引き出しなど基本的には子どもたちが触るところ全部です。出入り口や、引き出しの取手などよく触るところは重点的に行うようにしています。また、菌が広がらないようにするため、拭き方も一定方向に拭くよう徹底しています。トイレも1度座ったら、消毒をした後でなければ、次の子が使えません。玩具については、どの園でも念入りに消毒していることと思います。特に乳児は口に入れたり、よだれのついた手で触ることも多いので、遊んでいる様子を見ながら、除菌シートで拭き上げたり、一度使った玩具は全て消毒し、戻すようにしています。

ざっと7項目紹介しましたが、コロナ禍になり、子どもたちにも様々な制限が出てきているのは事実です。①でも記載した通り、感染拡大防止のため、戸外でも室内でもなるべく他のクラスと一緒に過ごすことがないようにしています。よって、クラス以外の友だちと交流する機会が減り、異年齢児特有の、大きい子が小さな子のお世話をしたり、一緒に遊ぶ中で優しい気持ちを育むといった取り組みが出来ていません。また、給食時間の配膳なども、本来は自分たちでできるのに、その機会を奪ってしまっています。給食を静かに食べることも、給食の時間になったら机を突き合わせてワイワイ楽しく食べていた時代から考えると、寂しいですよね。色々な我慢をさせてしまっているこの状況で、子どもたちに何をしてあげられるのか、制限がある中でいかにして少しでも楽しく、心地よく過ごせるように出来るのかを考えていかなければなりません。

保護者の方におかれましても、運動会や発表会、保育参観などことごとく行事がなくなり、子どもの成長を見ていただける機会、楽しみな行事が減ってしまっていることを心苦しく思っています。感染対策をしながら、いかにして開催出来るか、どのような条件ならリスクを減らせるのか、保育士たちは頭を悩ませています。

また、保育士としての業務も激変しました。今までの保育業務に加えての消毒、清掃作業は大きな負担になっています。清掃専門の方を雇ってくれるわけでもなく、子どもたちの保育をするのは最低人数で、残りは消毒に回ったり、人手が足りず、サービス残業で、子どもたちが部屋にいなくなってから消毒、清掃を行っている園も少なくはありません。いったい私たちの仕事は何なのだろうと話にあがる日も多々あります。子どもたちの安心、安全が第一だと言いながらも、少ない人数で保育をするため、限られた遊びしか出来ない日もあるのが事実です。もし、職員から感染者が出ても、濃厚接触者ではない限り、登園してくる子どもたちの人数は減らず、職員の負担は増える一方です。それに加え、保育士のくせに自己管理がなっていないなんて声も聞かれます。保育士も人間です。いくら気をつけていてもウイルスに感染してしまうことだってあります。現に私の周りの保育士たちは、家と最低限度の買い物をするスーパー、職場の三角形の中で行動しています。しかし、保護者の中には「明日から沖縄旅行に行ってきます」「東京に遊びに行ってきます」といった方もいらっしゃいます。それが悪いことだと言っているのではありません。このコロナ禍だからこそ、今一度それぞれにできる思いやりのあり方を考えるときがきたのではないかと思っています。保護者の方にお願いできると嬉しいこととすれば、自宅で子どもを見れるのならばお休みする、少しでも気になる症状があるのなら早目に病院を受診する、「いつもありがとうございます」と保育士に声をかける、などです。保育士も様々な制限がある中で、子どもたちが健康に、安全に、楽しい園生活を送れるように意見を出し合い、試行錯誤していきます。

<まとめ>

この記事を読まれた方が「うちの子、保育園でこんな風に過ごしていたのか!」とか、「これで悩んでいたのはうちだけじゃなかったんだ!」など発見や共感をしていただけたり、子育ての何かしらのヒントを得て下さっていれば幸いです。
保育士は子どもの笑顔を守りたいと思っています。そして、少しでも保護者さんの力になりたいと思っています。大切なお子様を預からせていただくからには、一緒に子育てを楽しめたら嬉しいです。「これはどうなのかな?」ちょっとでも疑問に思ったこと、悩んだことはどんどん聞いてください。
世の中的にも様々な困難がありますが、”子どものため”を第一に考え、みんなが笑顔に、そして子どもたちの笑い声が響き渡る毎日が戻ってきてほしいと願うばかりです。

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