2022年3月15日
子育て
娘は生後二ヶ月の頃、抱っこでしかお昼寝できない子でした。
寝かしつけはもちろん、眠ったあとも布団に置いた瞬間に起きてしまうので、一時間でも二時間でも起きるまでずっと抱っこをしていなくてはなりませんでした。
夜は抱っこで寝かしつけた後、布団にそっと置けばそのまま寝てくれるのに、昼間は夜の何倍も気をつけていてもなぜかすぐに起きてしまうんです。
そのため昼間は一日の大半を娘を抱っこ紐で抱っこしたまま過ごしていました。
「眠ることに慣れていないんだからしょうがないな」とわかっていても、慣れない育児で常に神経を使い、深夜授乳なども行っていた私はクタクタ。
娘と一緒に布団で昼寝したい。細切れでいいから横になりたい。
その思いはどんどん強くなり、せめてもと抱っこで寝かせたあと、抱いたままそっと座椅子に座って目をつぶったりしていました(そのまますぐにでも眠れそうでしたが、万が一横に倒れてしてしまったら!?と考えると眠れませんでした…)。
もちろんそんなことで疲れがとれるわけもなく、いつもぐったり。
夫に娘と抱っこ紐を託して寝れる休日を指折り数えながら、なんとか過ごしていました。
が、もともとロングスリーパーだった私は、寝不足が原因で少しずつ鬱っぽくなるように。
「横になりたいよ〜」と泣いてしまうことも増え、このままじゃいけないと思い、なんとか娘が布団で寝てくれるよう色々試してみることにしました。
まず試したのは、丸い姿勢で子供を寝かせるという方法。
胎児の頃は常に自分の膝を抱くような体勢でいるため、産まれてすぐはまっすぐの姿勢で寝かせても違和感で起きてしまう。
そのため、バスタオルなどを使ってお腹の中にいたときと同じようにアルファベットのCのような体勢で寝かせると良い。という方法を発見し、即実践。
体験談を参考にドーナツ型の授乳クッションとバスタオルを使用して、ゆるいカーブを描く姿勢で寝かせられるように寝具をセッティングしてみました。
いつものように抱っこで眠った娘をそーっとそこに置いてみます。
普段なら布団に置いた瞬間に起きて泣き出してしまう娘も、なんと眠ったままでした。
「や、やった!」
先人の偉大さを心のなかで讃えながらルンルンで娘の隣で横になろうとする私に聞こえてきたのは、「ふえ〜ん」という愛らしい娘の泣き声…。
おそるおそる声の元に目をやると、そこにはバッチリ起きてしまった娘が…。
結局その日、娘がそこで眠れたのは三分ほどでした。
絶望に打ちひしがれそうになりましたが、何度か続ければ慣れて長く眠ってくれるようになるかも!と思い、その後も寝かしつけてはCの形になるように置き…を繰り返しチャレンジしましたが、結局娘がそこで一五分以上寝てくれることはありませんでした。
次に試したのは「トトロ寝」と呼ばれている、親が仰向けに寝て、お腹の上で子どもをうつ伏せに寝かせる寝かしつけ方法(「となりのトトロ」でメイがトトロのお腹にうつ伏せで寝るシーンからきている呼び方のよう)です。
いつのも抱っこが横向きに変わっただけなので、「これはいけるのでは?むしろこれがいけなかったら次に何をやれば良いのかわからない」とすら思いながら挑みました。
いつもどおり抱っこでゆらゆらしたあと、娘がだんだんとウトウトしてきた段階でそっと横になり、娘を私のお腹の上へ…。
するとさっきまで半目状態でぼーっとしていた娘の目が急にキリッとして、ぐぐっと頭を持ち上げ始めました。
「や、やってしまった…」
というのも首が座った娘に寝返りの練習をさせるために、最近わざとうつ伏せに寝かせて頭を持ち上げさせる練習をさせていたんです。
やっと長時間頭を持ち上げることのできるようになってきた娘は、得意げに頭を持ち上げます。
その顔には既に眠気なんて一切ありません。
ダメだな…そう思った私は、再び立ち上がり、抱っこひもを装着しました…。
後日、抱っこで眠らせてからトトロ寝の姿勢に移行するのはどうだ?!と思い、試してみましたが、うつ伏せになった瞬間に起床。
もともとうつ伏せ寝がそんなに好きではなかったのかもしれません。
というわけで、残念ながらこの方法も撃沈でした…。
今振り返ってみるとたったの二種類の方法しか試していないのですが、寝不足で脳がうまく働いていないあの頃の私には万策尽きた絶望的な気分でした。
娘が寝ても自分は眠れないストレスに加え、新型コロナウイルスが流行り出し自主的に外出自粛をしていたため、まだしゃべることもできない娘と一日中家に居るストレスもあって限界寸前。
車があればドライブなどで気分転換ができたのかもしれませんが、我が家にはそんなものありません。
…もうこうなったら仕方ない。
私は思い切って家で寝かしつけるのを諦め、娘を抱っこ紐に入れて外出することにしました。
コロナの感染のリスクを考えると人気の少ない公園などを散歩するのが良いとはわかりつつも、出産前はウインドーショッピングが趣味だった私は商業施設に行きたくて、近辺にある授乳室完備のショッピングモールをリスト化し、ローテーションで通うことに。
せめてなるべく人が少ないうちにと、午前中に出かけてお昼過ぎには帰ってくるようにしました。
慣れない外で娘が抱っこでも眠れなくなり睡眠リズムが崩れたらどうしようと心配してしましたが、歩きまわっているうちに娘はいつの間にか爆睡。
また、いつもと違う環境が刺激になったのか、夕寝も少しだけ(30分程度ですが)お布団で眠れるようになりました!
私は気分転換ができるし、娘も眠れる!最高の方法を見つけた!と思っていたのですが、
体力の消耗が激しく、だんだんと更にぐったりするようになってしまいました…。
疲労は蓄積していましたが、この状態で家に籠もるともっと鬱々としてしまいそうだ…と思い、なんとかして外に出かけ続けていたある日。
いつも通り抱っこ紐で眠ってしまった娘を連れて、駅のエレベーターを待っていると、白髪のご婦人に話しかけられました。
「お子さん可愛いわね。何ヶ月?」
「に、二ヶ月です」
久しぶりの家族以外との会話。
コロナも流行っているし外出は控えた方が良いって怒られたらどうしよう。
ていうかこんな小さい子を連れて出かけている事自体を咎められたら。
ドキドキして無表情になっていく私とは対象的に、ご婦人はふふっと笑って言いました。
「赤ちゃん、本当に安心した顔で寝てる。
抱っこだとお母さんの心音が聞こえて安心するのね」
優しいその言葉に私はハッとしました。
そう言われてみると娘は私の胸のあたりに耳を押し付けるようにして眠っていました。
その顔は確かに安心しきっていて、私の服を小さな手できゅっと掴んでいました。
胸の中に娘のことを愛しいと思う気持ちがブワッと湧いてきます。
一気に緊張がほぐれた私は、エレベーターが到着して目的の階に着くまで、最近お孫さんが産まれたばかりというご婦人と育児トークをし
て、最後に「話しかけてくれてありがとうございました」といって別れました。
あの言葉を聞いてから、「眠いのは相変わらずだけど、抱っこで寝てくれる期間もわずかだしもう少し頑張ってみようかな」と思えるようになりました。
抱っこのし過ぎで腕も肩も腰も悲鳴を上げていましたが、娘の安心しきった顔を見るとそれも薄れる気がしました。
まあ、抱っこでやっていけるでしょ。
そう思っていました。
そう、このときは。
偶然出会ったご婦人の一言で今しかない時間を楽しもうと思えた私。
昼間は依然抱っこでしか眠れない娘でしたが、それでも「今しかないんだから!」でなんとかやっていけました。
…が、それも最初だけ。そう長くは続きませんでした。
というのも、前からうっすらと感じていた腰の痛みが本格化してきてしまい、日々の生活にまで支障がでてくるようになってきたのです。
産前でしたら一日横になっていれば治ったかもしれません。ですが、今は抱っこででしかお昼寝できない娘が居ます。
とりあえず土日で夫が休みの時は寝かしつけを変わってもらい整骨院へ行ったり、できるだけ横になって安静にして療養に努め、平日になったら再度抱っこで寝かしつけを頑張る…という風にだましだまし生活していました。
しかし、そんなペースでしっかり回復するはずもなく、日に日に腰痛は悪化していきます。
その日は特に朝から腰痛がひどく、座って授乳しているのもややつらい状態。
授乳後、娘を昼寝させようといつものように抱っこひもを装着しましたが、それだけで腰がズキズキと傷みました。
「抱っこひもをつけただけで痛いなんて…さすがに今日は抱っこで寝かせるのは無理かな…」そう思い、なんとか抱っこで寝かしつけたあと、夜と同じように布団にゆっくり置いてみましたが、当然のようにすぐに娘は目を覚ましてしまいました。
せっかくいい気持ちで寝ていたのに!そう言わんばかりに、娘はウワーン!と大きな声で泣き始めます。
それを見た私は、疲れが一気に爆発してしまい「なんで布団で寝てくれないの〜!」と娘よりも大きな声を出して泣いてしまいました。
すぐに娘に大声を出してしまったことに対してハッとしました。
その後、気合いで娘を再度抱っこし、なんとか腰痛をごまかしながら抱っこを続けて娘を寝かしつけました。
娘が寝たあとも大きな声を出してしまった罪悪感が和らぎませんでした。
それどころか、「まだ寝ることにも慣れていない赤ちゃんに大きな声を出すなんて…私は母親失格なんじゃないか…」という気持ちがどんどんと大きくなり、また涙が出てきます。娘を起こさないよう声を殺して泣き、このままじゃいけない、と強く思いました。
とりあえず夫に相談しようと決め、夫が会社から帰ってきた後、担当してもらっている夜の寝かしつけも終えてリビングに戻ってきたタイミングで「ちょっといいかな」と声をかけました。
今日あったことを話し、なんとか娘を抱っこ以外の方法で寝かしつけられるようになりたいんだけどどうすれば良いかわからない、と悩みを相談すると、またも涙が出てきました。
寝不足のせいか一日中泣いていたせいか、涙腺がゆるくなって次々にボロボロと涙が出てくる私に夫は焦った様子。
「ごめんね、平日は一人で育児をさせてしまって…」と謝られたあと、少し考えてから「…前から提案しようか迷ってたんだけど、ネントレっていうのを試してみる?」と提案されました。
ネントレ、とは「ねんねトレーニング」の略で、名前の通り赤ちゃんが自分一人でねんねできる(寝つける)ことを目指すトレーニングです。
ネントレにはジーナ式やファーバー式など沢山の種類がありますが、どれも寝室の温度管理や明るさ、一日のスケジュールなど、親が子供が眠りやすい環境を整えてあげるということは共通しています。
ネントレについて、実は私も気になってはいたものの、最初に目を通したサイトがしっかりしたスケジュールを組んで行うジーナ式だったため「これは私には無理かも…」と思って始める前から挫折していたのでした。
それ以降、ネントレに対しては「しっかりもののお母さんが頑張るトレーニング」という印象がついてしまっていて、勝手に苦手意識を持っていました。
でも自分の情緒が不安定になり子供に大声を出してしまうくらいなら、ちょっとくらい頑張ることくらいなんてことない!そう思った私は、ネントレに挑戦することを決めました。
…といっても、一体何をすれば娘が一人で眠れるようになるのかなんて検討もつきません。
とりあえずネットでネントレについて調べてみるも、前述した通り様々な種類がある上、人によっては複数の方法をミックスしたり、逆に一部分だけゆるく取り入れてみたり…といろいろなパターンがありすぎて混乱してしまいました。
今思うと、とりあえず実践できそうなことから生活に取り入れてみれば良かったのですが、変に真面目な私は「最初から複数のやり方をミックスして子供に悪い影響があったら怖い!とりあえずしっかり1つの方法を学びたいから、ネントレの本を読んでみようかな!」と思い、図書館で数冊の本を借りてきました。
「これを読んだら娘も布団でぐっすり寝てくれるようになるかも!」とドキドキワクワクしながらページをめくりましたが…。
寝不足で全く内容が入ってこない。
出産前は読書が趣味だっただけに、自分が本が読めなくなっているというのはかなりショックでした。
「ネントレのスケジュールが守れなくて挫折っていうのは聞くけど、まさかネントレの本が読めなくて挫折とは…やっぱり私にネントレは無理だったんだ…」
どんより落ち込んでいる私に、夫が一冊の本を差し出しました。
「これ口コミ良かったから買ってみたんだけど、結構わかりやすくて良かったよ」
「いやいやだから眠くて読めないっちゅーねん!」と思いながら受け取ったそれをめくると、中身はなんとマンガ。
そう、それが私を救った一冊「マンガでよくわかる 赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド 0歳からのネンネトレーニング(清水 悦子 (著)/たかはしみき (イラスト))」でした。
可愛いイラストに助けられ、育児の合間になんとか一冊読みきることができました。
びっくりしたのは、親の頑張りにより成り立つ、しんどいイメージが強かったネントレなのに、この本に書かれている大事なことは大きく分けて以下の三点だけだったということです。
体内環境を整えてあげましょう
睡眠スケジュールを整えてあげましょう
入眠儀式を作ってあげましょう
…細かいスケジュールを組んで、それ通りに生活することを想像していた私には、拍子抜けなくらい全体的にゆるい雰囲気でした。
またうちの子と同じように、布団に置いた途端に起きてしまう!という子が登場したことで、うちの子も布団で眠れるようになるのかも!?と一気にモチベーションが上がりました。
これだったらなんとかできそう!やっと前向きになってきた私は、この本をベースにネントレを頑張りたいと夫に伝えました。
ネントレを始めるにあたって、2つ夫と決め事をしました。
①無理に頑張らない。これは寝ないなと思ったら抱っこで寝かす。
②泣き声を聞くとどうしても不安な気持ちになってしまうので、イヤホンをつけてネントレをする
楽になるためにネントレを始めるのに、ネントレに頑張りすぎて疲れてしまったら本末転倒。
とにかく無理せず!をモットーに、ゆるーくやっていくことにしました。
本に書いてあった体内環境を整えることについては既に実施済みのものばかりだったので、私達はまず娘の一日のスケジュール作りを見直しました。
本に月齢別のざっくりとした一日の例が書いてあったので、
・朝起きる時間
・夜寝る時間
・現在抱っこひもを使用して寝かしつけている朝寝と昼寝の時間
上記の3点を例に当てはめてスケジュールを作成していきました。
といっても、布団ではなかなか寝付けないでしょうし、眠れたとしても短時間で目覚めてしまうことが予想されたので、必ずその時間に寝ていなくてはならないスケジュールというより、ただの指針にすることにとどめました。
また夫が「寝かせたい時間から逆算して寝かしつけを開始するといい」という話をネントレ経験者の会社の先輩から聞いてきてくれたため、「どんなに時間がかかっても一時間もあれば寝てくれるだろう!ていうか寝て!」という願いのもと、一時間前に寝室に入ることも決めました。
次に入眠儀式という、お布団に入るまでのルーティンを決めました。
今までは
①授乳後、少し時間が経ったら(ここも本当に決めていませんでした…私の体感で全てを行っていました…)
②抱っこひもをつけて、娘を抱っこ
③寝たらそのまま起きるまで抱っこで寝かす
…という本当にざっくり!且つ布団で寝かせる場合に流用できなそうなルーティンで寝かしつけを行っていたため、新しく布団に入るまでのルーティンを作ることにしました。
新しく決めたルーティンは以下のもの。
①授乳後から娘が目をこすったり眠そうな仕草をしだしたら寝かしつけスタート
②おもちゃにバイバイしてからリビングを出る
③寝室に入ったらホワイトノイズを流す(もともと泣き出したときにホワイトノイズを流すと泣き止むことが多かったので、寝かしつけで泣いてもホワイトノイズがなんとかしてくれるだろう…という安易な考えから採用)
④添い寝して娘のお腹を優しくポンポンして寝かしつける
色々とやり始めたら途中で親が疲れてしまいそうなので、寝不足でもなんとかできそうな範囲で始めて、適宜変更していくことにしました。
とりあえず布団で眠ることができる夜から新ルーティンを取り入れ始め、昼間も抱っこで寝かしつけるとしてもわざわざ一度寝室へ行ってホワイトノイズを流してから抱っこひもを装着する…など、娘に「これが眠る合図なんだよ〜」というのを少しずつ教えていきました。
実際に布団で寝かしつけるのをいつにしようか悩みながらも、上記のルーティンを3日ほど続けたある日。
いつもより朝早く起きてしまった娘が、朝の授乳後目をこすったり頭を布団に擦り付けたりと、なんだかすごく眠そうにしていました。
こんなに眠そうなら…布団でも眠れるんじゃないか?
そう思った私は、そそくさと布団を敷き直しイヤホンを耳にセットしました。娘を抱き上げ「さぁ娘ちゃん、ねんねしよっか〜」と言いながらリビングにあるおもちゃにバイバイをして、リビングを出ます。
寝室に入るやいなや予めセットしておいたiPodからホワイトノイズを再生!そっと娘を布団に起き、私もぴったりくっつくように添い寝して、娘のお腹を優しくトントンし始めました。
もちろん抱っこで寝ることに慣れていた娘は、突然布団の上でお腹をトントンされるだけで寝ろと言われてもできません。
さっきまでウトウトしていたはずなのに、いつの間にか寝室まで連れてこられて「一体何が始まったんだ?」とばかりに周りをキョロキョロ見渡していました。
このまま泣かないでくれたら…と思っていたのですが、だんだんと本格的に眠くなってきたのか「早く抱っこして寝かせて!」と言わんばかりに泣き出しました。
一度泣き始めるとなかなか泣き止まない娘を見て「こんなに泣いてるんだし…抱っこで寝かせてあげたほうがいいのかな…」という思いが脳裏によぎる私。
でもそんな私を止めたのは、安眠ガイドに書いてあった「実践を初めたら1週間は元の方法に戻さない方が良い」「長時間泣いた結果、元の寝かしつけに戻った場合は、自分の要望を伝えるには泣き続けないといけないんだと赤ちゃんが学習してしまう」という言葉でした。ということで、心を鬼にしてトントンを継続。
とりあえずこのまま頑張ってみて、15分経っても泣いて寝そうもなかったら今回は抱っこで寝かせよう。そして昼寝の時間に再チャレンジしよう…と心の中でリミットを設定。
イヤホンから流れる音楽に神経を集中させながらなんとかトントンし続けると、ちょうど15分後、泣きつかれたのか娘が再度ウトウトし始めました。
トントンのリズムを次第にゆっくりにして、最後はお腹の上に手をおいて置いておくだけの状態にすると、娘の目がゆっくりと閉じていき、そのままスヤスヤ寝息を立てて眠ってしまいました。
や、やったー!叫びたい気持ちをぐっと堪えながらそのままの姿勢でじっとして、5分ほど経ってからそっと布団から抜け出します。
ドキドキしながら寝室のドアを閉めましたが、娘は起きることなく、そのまま30分ほど布団で朝寝をしてくれました。
…ということで、私のネントレは、驚くほどスムーズで呆気なく、快調な滑り出しで始まったのでした。
初めてのネントレが順調にいったため、私はかなり浮かれていました。
「今回は抱っこで朝寝をさせていたときより早く起きてしまったけど、この調子で続けていけばすぐに布団で長時間寝れるようになんじゃないかな?!なんだ!ネントレって簡単!」
その日の午後、娘を昼寝させるために朝と同じ入眠儀式をこなし、布団に寝かせて添い寝トントンをし始めましたが、今度は娘は大きい声で泣き続けたままなかなか落ち着いてくれません。
あれ?朝はあんなにすんなり眠れたのにおかしいな…。
そう思いながらも、朝もウトウトし始めるまではそれなりに泣き続けていたのを思い出し、とりあえずトントンを続けました。
が、結局その後も30分近く娘は泣き続け、眠くなりそうな兆候すら見えません。これ以上泣かせ続けるのもな…と思い、諦めて抱っこで寝かせました。
抱っこ紐の中でスヤスヤと眠っている娘を見ながら、まぁそう簡単にいかないか…、とため息をつきました。
以前だったら「結局抱っこで寝かせるのが一番早いし、泣かせ続けるのもかわいそうだし」とここでネントレを諦めていたと思います。しかしネントレ本に「寝かしつけ方法をコロコロ変えると赤ちゃんも混乱する」と書いてあったので、とりあえず1週間は同じ方法で頑張ってみることに決めました。
とはいえ「ネントレは親が楽になるためにするもの!ネントレで親が疲れたら本末転倒」と夫と話し合っていたこともあり、疲れていて「今泣き声を聞くのはしんどいなぁ…」と思った時は最初からネントレを諦めて抱っこで寝かせたり…とかなりゆるめに、継続することだけを念頭に置いてネントレを続けました。
そんな風にネントレを続けていくと、一週間も経たないうちにだんだんと娘が布団で入眠できる頻度が上がってきました。
しかし必ず10分ほど泣いてからでないと眠れないようで、娘の泣き声を聞きたくないがあまり、私が寝かしつけに入るのがだんだんと辛くなってきました。
ここで踏ん張れば、きっとトントンだけで眠れるようになる。そのうち泣かなくなるかもしれないから踏ん張ったほうがいい。
頭ではわかっているものの、どうしても泣き声を聞くのが辛く、つい抱っこで寝かせたくなってしまいます。
そこで、最初から最後まで布団で寝かしつけをするのを諦め、昼間も夜と同じように抱っこである程度ウトウトさせてから布団に置いてトントンの方法で寝かしつけをしてみることにしました。
ネントレを始める前は布団に置いた瞬間に目がパッチリと開き、急に元気になってしまっていたのでこの方法で寝かしつけをするのがちょっと怖かったのですが、試しにやってみた結果、なんとすんなり娘は眠ってくれました。
寝かしつけにかかった時間は今までの半分。
ウトウトするまでは抱っこなので娘も安心した様子でしたし、なにより私の精神的ダメージが段違いに軽くなりました。
いつかは夜もトントンだけで眠れるようにしたいと思っていましたが、寝かしつけ後の疲労感が全然違ったため、とりあえずはしばらくは昼も夜も『抱っこでウトウトさせてから布団トントン』で寝かしつけをすることにしました。
寝かしつけ方法を完全に統一したからか、娘の寝かしつけ時間は一気に短くなりました。
そうすると、今度は睡眠時間の方が気になるように。
娘は抱っこで寝ていたときは2時間近く眠れていたのに、布団で寝るとどうしても30分から1時間程度で起きてしまいます。
睡眠時間が短くなったからか、一日に何度もお昼寝をしないといけなくなり、まとめて眠ってくれたらありがたんだけどなぁと思うようになりました。
もしかして体力がついてきて疲れていないから短時間で起きてしまうのかな?と思い、前よりも散歩の時間を増やしたり、支援センターに行く頻度を高めたりしましたが、特に変化はなし。
じゃあ何が原因で起きてしまっているんだ?と娘を観察したところ、モロー反射で起きてしまうことが圧倒的に多いことがわかりました。
モロー反射とは、生後まもない赤ちゃんが音や光などの外部からの刺激に対してみせる反応のことです。
身体をビクッとふるわせたあとにバンザイのようなポーズを取るのですが、寝ているときに反射が起きるとその動作に自分でびっくりして目が覚めてしまうようでした。
まだどの刺激が危険なものか判別できない赤ちゃんのために備わっている機能ということは理解しつつも、娘が自分のモロー反射で起こされて怒って泣いているのを見ると「君がやったんだよ〜!」とこっちまで泣きたい気持ちになりました。
モロー反射は4ヶ月から6ヶ月目くらいには消失するとのことだったので、もう少し待てば自然になくなるとはわかりつつも、それが抑えられたらもっと長く眠れそうなんだけどなという気持ちが抑えられません。
何かいい方法がないかとネットで検索したところ、すぐに出てきたのは「おくるみで巻いてあげると良い」との情報でした。
身体や手足をほどよく固定してあげることでモロー反射が起こりにくくなり、ぐっすり眠れるようになるとのこと。
おくるみの方法は産婦人科で習ってはいましたが、不器用な私は一枚布で柔らかい赤ちゃんをキュッと包むのがどうしても怖く、他に方法がないかと検索を続けました。
そこで見つけたのが、着せるおくるみ「スワドルアップ」でした。
スワドルアップは、伸縮性の高いコットンニットでできたスリーピングバッグ(赤ちゃん用の寝袋のようなもの)です。
従来のおくるみと違うのは、ファスナーで着せるだけで良いこと、そして四肢をすっぽりと包むのではなく、腕を「く」の字のように上に曲げて着せるようになっているということです。
この「く」の字の部分が非常に重要なようで、赤ちゃんにとって自然な姿勢になるため長く寝てくれるとのことでした。
良く言えばクリオネ、悪く言うと拘束具のような見た目のそのスリーピングバッグを購入するかどうかは非常に迷いましたが、「長く寝てくれるようになった!」「これなしではもう考えられない!」というような絶賛の口コミに後押しされ、結局その場で購入しました。
商品が到着後、速攻水通しして着せて見ると、娘はきょとんとした顔をしていました。
「こんなの着せただけで本当に変わるのかな?」そう疑いながらもいつも通り抱っこで寝かしつけを始めると、驚いたことにいつもの数倍の速さで娘がウトウトとし始めました。
布団に置いたあともスワドルアップの包まれる感じが安心するのか、すぐに入眠。あまりにあっさりと寝付いたことにびっくりしましたが、更にびっくりしたのはその後1時間もまとめて寝てくれたこと。
今までと段違いの寝付きの良さに感動し、夜も着せて寝かしつけをしましたが、夜も同じようにあっさりと入眠。夫もびっくりしてすぐさま洗い替え用に数枚買い足していました。
スワドルアップを着用させてから寝かしつけをすることで、娘の睡眠時間は日に日に伸びていき、コンスタントに2時間ほどお昼寝できるようになりました。
スワドルアップを着せるようになってからあまりに急に睡眠が安定するようになったため、今度は「スワドルアップなしで眠れないようになったらどうしよう…」という悩みが発生。
今となっては笑えるのですが、当時はスワドルアップがLサイズまでしか販売されていないため、「できるだけ長くスワドルアップを着せれるように、遅いスピートで成長してほしい…」とまで思っていました。
まあなんとかなるだろう!の精神で寝かしつけにスワドルアップを使用し続け、寝返りをするようになってからは片方ずつ袖が取りはずせるタイプのスワドルアップを購入。
片腕ずつ出して寝る練習をするうちに、6ヶ月になる頃には厚手のスリーパーを着せれば眠れるようになり、無事スムーズにスワドルアップを卒業することができました。
結局我が家がネントレに費やした期間はおよそ1ヶ月足らずでした。
子によって合う方法・合わない方法がもちろんあるので、おそらく我が家は最短で娘に合った寝かしつけ方法とグッズに出会えたのだと思います。
子供が1歳半になった今では、添い寝をしてトントンするだけでぐっすり眠れるようになりました。
自分でもわがままだなぁと思うのは、時おり抱っこで眠っていた頃の娘の写真を見ては「もう一回あの頃のように、しっかりと娘を抱きながら、ゆっくりと眠っていくあの顔をじっくりと眺めたいなぁ」と思うようになったことです。
もし私と同じように子供が布団で寝てくれない…と悩んでいる人がいたら、絶対にいつかは布団で眠るようになるので大丈夫です。
そして今はその時のために抱っこでしか眠れない子供の顔を写真を撮ったり、しっかりと見てあげてください。
いつかきっと、その顔を思い出し日がくるはずです。