タイでのコロナ時期の子育て

2022年3月26日

海外子育て

1. 外出は戦闘態勢

2020年3月末、中国からの旅行者の感染に加えタイでの国内感染が確認されたため、政府は早くも国際線の離陸をシャットアウトしました。そして当然私の勤める観光業、ホテル業も営業停止宣言。急に仕事に行く必要がなくなり不安が募りましたが、早いうちに動きを止めた政府はウイルス感染をかなり低い率に抑えることに成功し、かしこい選択をしたと思います。
タイでは、食品販売以外のお店、レストラン、ホテル、美容室、マッサージショップなどは原則営業停止、地区の境界線に軍事監視隊が配置されていた私たちの生活は行動距離は家から約10㎞圏内のスーパーマーケット、コンビニのみでした。当時4歳の子供を家において買い物にも行くのも、ウィルスを拾ってくるかもわからないスーパーに連れて行くのも気がひけましたが、あまりチョイスもなくほとんどの場合連れていきました。
その際私たちがしていたこと:
ダブルマスクをつけて戦闘態勢で買い物へ。タイ人はビニール手袋している人も多かったですよ、中にはシャワーキャップをつけている人も。そんなにまでして買い物に来なくても。。。と思いましたけど。ショッピングカートは消毒用ジェルで先ず拭いてから使用。どのスーパーでも「1時間に1度消毒」なんて書いていましたけどしているのを見たことがなかったですから自分の身は自分で守るのが基本です、タイですから。コロナ初期は特に子どもの行動に神経過敏で「さわらない!さわらない!!さわらないー-!!!」とシャウトしていました。(多くの親御さんもそうだったと思います)
子育てにおいて「~をしてはいけない」はなるべく言わない主義でしたが、これだけはくどくど言っていました。家に帰ってくると服を全部脱いでシャワーで頭から足の先まで洗う、脱いだ服、くつはまず天日干し。幸い住んでいるプーケットは天日干しがほぼ年中可能!
また、上記のように徹底していたのには別の理由もあって、絶対かかりたくないと思っていました。というのも、ウイルスが検出されると隔離です、病院かフィールドホスピタルという古い役所とか学校に小さいベッドがいーっぱい並べられたところに2週間。ベッドに横たわる以外にできることはなく、テレビなんかで画像を見るたびに、これはむり!と思っていました。病気自体よりも。息子にもこの病院のベッドで一人で寝ることになるよーと、そんなフィールドホスピタルを見せて、シャワーするのをめんどくさがる4歳児に徹底させていました。
その4歳児の通う幼稚園もオンライン学習に切り替わり、幼稚園を託児所のように利用していた共働きの親に仕事を増やしてくれました。幼稚園児が画面の前におとなしく座っているわけがありません。ちょっと目を離すとほかの部屋からぬいぐるみを集めてきてミーティングをしています。年中、年長とあがるにつれて知恵もついて、ビデオをオフにしたり、ミュート(消音)にしてテレビ見ていたり。。。そんな中でも1時間集中して内容が身になっている授業もありました、幼稚園児を見事に惹きつける会話と子どもの競争心を掻きたてるのが上手な先生の授業、それには本当に見習うものがありました。
そのサディア先生がオンラインでしていたゴールデンルール:
 大きめの声ではっきりとするべきことを指示(ゴールを明確にする)
 子どもの特性にあわせて、問題量、難易度を調整する(パーソナライズ)
 発表したがる子にリードさせて消極的な子とペアにさせる(チームワーク)
お聞きになったことがあるかと思います、そう大人の世界と同じです。
ここに音楽や効果音を取り入れて楽しい雰囲気に、そして子どもと対等に日常会話を織り込むことで子どもたちが質問したり意見を言ったりしやすい環境にされていて、感心しました。
正直、幼稚園児のはちゃめちゃオンライン授業の補助をするのが好きではありませんでしたが、この先生の授業だけは横で聞くようにしています。試しに息子に数回言ってみました、「サディア先生の授業は重要だからちゃんとついていって発表もするように」と。はい、効果あり!ちゃんと言われたとおりについていってできたことをアピールしてきます。このまま素直に育ってほしいと切に願うばかりです。。。

一方幼稚園でのオンサイト学習の状況はというと
タイの教育省からの指示で、感染が急増した2020年の3月から数か月、2021年4月から1か月半、そしてクラス内で感染がでた2022年の3月に1週間単位で数回オンラインに切り替わりました。それ以外は園でのオンサイト学習。
幼稚園でのニュー・ノーマルはというと、マスクの完全着用、プレイグランドは立ち入り禁止、水泳はロジックを教える、体育の授業は工作などに変更。安全のため、感染が広がるのを防ぐため、とは言っていますがちょっとおもしろみに欠けてません?せっかく幼稚園にきて友達と遊具で遊ぶのもだめー、もってきたおやつを分けるのもだめー、プールは使用禁止、ってのはかわいそうですよね。先生にも言ってみましたが学校の方針とのことで変更しないの一点張り。タイの幼稚園、小学校はどこもこんな感じのようです。インターナショナルスクールは、教育省の指示、助言をきかなくてもよいので水泳も体育も遊具もふつうに機能しています。(感染もけっこうあるようですが、9割以上は症状なしの状況です)
そんな子どもの楽しみまで奪ってしまったパンデミック前は、幼稚園児も放課後が一番の楽しみ。クラス、学年を隔てて1-2時間は一緒に走り回っていたんですよね。しっかりそこで遊ぶことで食欲もでてしっかりごはんを食べて早めに寝てくれる(=親に自由な時間ができる)というサイクルがあったので、これを目指してコロナ渦で何ができるか、若干ルール変更。
学校の遊び場で遊べなくなったため、他に遊べるところを探し、時間の許す限り連れて行くようにしました。タイ人の親御さんはコロナをかなり怖がっていることが多いので一緒に来てくれる友達やその親は限られていて、私が一緒に遊んであげないといけない…めんどうですが(笑)そこは時間を限定して集中して一緒に遊んであげる。
中途半端は子どもにも親にもよくないですね、どうせするなら楽しまないと。その中でスケートボードやバドミントンなど、全くやらないより経験値も体力も上がるので。
これに関連してコロナ渦で気を付けたことは、心と体の管理です。感染力の強い2022年のオミクロンに幼稚園の同クラスの子どもと先生が次々に感染報告をしていく中、息子はけろっとしています。(その親も!)ワクチンがきいているのか、ウイルスにも菌にも強い体質なのか、毎日栄養と運動にこだわる生活習慣があるからなのか、感染せず過ごせています。野菜中心の食事と、1日1-2回外で運動させる習慣をつけることで体調はもちろん、精神状態も支えてくれます。子どもも大人も思い通りにいかない、いろんな面において我慢を強いられる時期ですから。
ここでは、幼稚園児のオンライン授業、オンサイト授業とその環境下での子育てに関して触れてきましたが、コロナ渦の2年間の間にもう1パターン、私たち親子が実践した教育の場がありました。それはホームスクール。学校の授業や先生が合わなくなり、家で学校と同等の学習をするホームスクールの体系は外国ではよくあるパターンです。うちの場合は、地区ごとのロックダウンが宣言された時期、学校がオンライン、職場のホテルも営業休止になったときに息子にあった内容とペースで進めよう、と始めたものでした。これに関しての詳細は別の章で詳しく書いていますので、自分の子、近所の子などに教えてみようと思われる方はぜひ読んでみてください。教員になろうとは今までに考えたことのなかった私もこのホームスクーリングは親子共々いい経験、いい時間を過ごせたと思っています。

2. ホームスクール

世界中の誰もが影響を受けたコロナ、COVID-19が、当時4-6歳になる息子を育てる私たちの生活にどう影響したかを振り返っていこうと思います。
世界の先進国で感染が広がるニュースを聞きながら、それほど感染者数が多くなかったタイ、プーケット島では、インフルエンザのように流行もすぐにさるだろうと考えていました。
ところがところが、徐々に危機感が増して、早くも地区外に出ることが禁止されたロックダウン。職場のホテルも新規の宿泊者を入れてはいけない、レストランもスパも営業休止となったため、出勤する必要もなく、家族みんなでおこもり。共働きの私たち夫婦と息子の家族3人がそろって家で長く過ごしたのは、この時が一番長かったと思います。
逆境をチャンスにするのが得意(?)な私は、ホームスクールを始めました。
まず時間割をつくり、現地の幼稚園で教えてもらえること以外に日本語、道徳、世界の文化など知っておいてほしいことを織り込み、1日だいたい4コマ+近所の子供とのふれあいとしました。ラジオ体操から始まる日本の“夏休み”で育った私が作るスケジュールはこちらでも体操、運動から一日をはじめ、ラジオ体操カードみたいなスタンプ制にして4歳児のやる気をちょっとでもかきたてました。半分タイ人だからなのか、ことあるごとにサボろうとしますけど(笑)そのほかの教科、特に算数は幼稚園で習う内容のちょっと先、ひっ算などのちょっと上級の“方法”を教えることで2桁の足し算なども可能に。標準教育より少し上の学年で教えるものを親がマンツーマンで教えると意外にできるもんです。あとは自分が学生時代にしていたようにテストを制限時間付きで2日に1度くらい続けると身につきます。子供の学習能力はホントウに高いです!ストップウオッチを使うと闘争心がわくのか、集中してやってくれますよ。特に男の子はゲーム感覚が好きです。ジョギングも大人のペースではついてきませんが自分の運動にならないとイライラするのを抑えながら、「そこの角に早く着いたほうが勝ち!」「位置について、よーいどん!」など常に勝利を意識させているうちに近所周辺を数周、毎朝の目標距離達成。こっちもけっこうくたくたになります。。。ひらがなの練習もこの「わ」が1等賞で「ぬ」が2等賞とビューティーコンテストをするのも結構ヒットです。うちは特に日本語が苦手な海外生活なので、日本語でくどくど説明するより効果音付きで面白おかしく単語を覚えさせるほうが早かったです。
その他に意識したことは子供の好きなジャンルを伸ばしてあげることですね。うちの子は耳がいいようなので、あいさつや数字を違う言語で聞かせたり、歌やピアノを子供が披露するYoutubeビデオなんかを見せたりすることで興味のある分野に刺激を与えていました。特にAmerica’s Got Talentという番組は、私が好きなので一緒になってみています、というか歌をまねて披露してくれます。親の反応を見て子は褒められようとやる気になったりするようです。もちろん逆もあり、子供が一生懸命したものに対して無反応だったりすると、子供ながらに無意味なんだと感じて努力しないようになるようです。
そんなわけで、子供が興味を示しそうな内容をYoutubeなどで検索し、ヒップホップダンス、ズンバエクササイズ、ピアノの鍵盤、ドラムのたたき方など、マイブームがおさまるまで見せます。これでこの年の子供を習い事に行かせるのと同じぐらいの効果はあると思います。習い事も初めは興味を示したとしてもそれが長く続くか、実力を発揮するまでに至るか、なんてわからないもので、自分の周りの小さい子供を持つ親御さんの中にはいろいろと習わせては無駄にしているパターンもお見かけしますし、子供の興味は移り変わります。その中でも長く興味が続いているもの、これは間違いなく身につくと思えるようになったところで、専門家の手に委ねて才能を引き出してもらうというのが賢いやり方だと思います。もちろん親がそれを見極めるまで寄り添える時間を作れたり、子供のことを第一にできる環境があれば、の話でしょうが。私も仕事がメインの生活の時には、託児所として幼稚園を利用するだけで、この4-6歳の時に「実力を伸ばす」なんてことは考える余裕はありませんでした。コロナ時期に感謝したのは、そんな自分の息子という人間の能力を感じる時間ができたということ。
2年たつ2022年(幼稚園年長組み)の今でもクラス内で感染者が出るたびにオンラインに切り替えられ、何を幼稚園で教えられているかを聞くことができます。その関連事項のちょっと難しいバージョンに挑戦させたり、先生が使うような教材、例えばかけ算の表をいっしょにつくってみたり、知らない単語をオンライン辞書で調べたりして、覚えさせるつめこみ勉強より、学ぶプロセスを身につけさせるようにしています。なのでヒントを出してあげるのは〇、答えは×です。
私一人の声で教えようとすると飽きられるので、ビデオや歌を交えたり、子供のほうが知っている内容は「これ、何って書いてる?」と言って知らないふりをして教えてもらうのも効果的なようです。例えば雨のサイクルを学校で習ってきた日に、雲を見ながら「雨が降りそうかな、なんで雨ってる降るんかなー」なんてふってみると、得意げにはなしてくれます。
大人でもそうですが、人に教える機会は、人に話をすることで記憶が定着したり、また知らないことを調べて知識に加えたりします。こどももそうです、そのレベルは大人ほど顕著には現れませんが間違いなく当てはまります。
こんなことを書き連ねている横で今、となりで6歳の息子が幼稚園のオンラインをしています。ここではっきりと見られるのは、先生によって、教え方によって子供の着席率がまーったくことなってきます。教えるのが上手なベテラン教師の授業では、今聞き逃したらまずい、と子供に思わせて1時間6歳児を惹きつけ続けています。そして子供の名前を呼んで、それぞれのパーソナリティを織り込みながら授業内容にまきこみ、飽きさせることなく押し付けることもなくやる気を引き出しています。これはホームスクールをする際の参考になります。
子供が興味のない、好きではない分野を教える際は、お互いに「自制心」が必要になります。アメとムチも使わざるをえないときもあります。文字通りアメを口に入れてカタカナの書きの練習をさせたり、本読み5回でのどが渇いたところにコーラを、など。教える側も、ほかにしないといけないことだとかがあったり、思い通りに勉強してくれない様子にいらいらする時には、具体的に何時から何時までは教える時間に徹底してそれが終わったら自分の時間をもつようにしています。
ホームスクールの場合、他の子供と触れ合う機会がないのでそこを補うのも大切だと思います。コロナ渦では人ごみを避けたり家族以外との接触を避ける傾向にもありますが、仲のよいお友達と定期的に屋外で遊ばせる必要があります。
子供の性格、学習能力は統計によると半分以上、いや大半が遺伝によってきまっているようです、親や家庭から教わることは10%前後、面白いことに友達からの影響のほうが20-30%と大きいようです。そこで親としてできることというと、いい友達のできやすい学校にいれてあげるとか、共通の興味から話の合う、そして切磋琢磨できる友達ができるであろう課外スクールにつれていくなどです。ちょっと脱線しましたが、そんなわけでいい友達と触れ合わせる時間は、こどもの性格形成や学力などに大きく影響を及ぼすので、ホームスクール中でも家族以外の人、友達と触れ合わせる必要があります。
そして、特にからだと精神の健康を保つためにを運動は毎日欠かせませんでした。コロナが感染し始めた頃の4歳では自転車のコマなしの特訓、その後、オンラインに替わるたびにスケートボードやバドミントンなどを始めさせ、けっこうこの時期にできるようになったことは多々あります。めんどくさがる息子にまけず頑張って引っ張り続けてよかった!
まとめとして、ホームスクールは子供の個性に応じた学習と音楽や体育、その他実技を効率よく教えてあげられる機会でした。ただ、弱点としては親の苦手科目はあまり習いません。。。そこは学校に任せることにしましょう。

 

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