2022年3月1日
子育て
世の母親を悩ます「イヤイヤ期」「魔の2歳児」…子育てをしている方や、幼児に関わる仕事をされている方なら、少なからずこのような言葉を耳にされたことはあるかと思います。「なんだか最近、急に機嫌が悪くなったり、突然大泣きしたり…。」理由が分からない大人にとっては単なる「わがまま」と捉えるかもしれません。しかしこの様な状態が続くと、「うちの子大丈夫かな?」と心配になったり不安になったり、「また今日もイヤイヤが始まった…。」と一緒にいる親御さんは疲れてしまいます。
どうしてこの「イヤイヤ期」と呼ばれる時期がくるのでしょうか。その理由を詳しく説明したいと思います。
一人ひとり個人差はありますが、イヤイヤ期は早い子なら1歳過ぎたころから始まります。2歳半ばごろにピークを迎え、3歳まで続く子もいますが、本格的なイヤイヤ期は2歳前後が多いです。3歳を過ぎれば少しずつ落ち着いてくることが多いでしょう。イヤイヤ期の程度にも個人差があり、ない子もいれば激しい子もいます。
イヤイヤ期は、環境や育て方が影響しているのではなく、その時期の子どもの成長と発達が大きく関わっているのです。イヤイヤ期のあらわれる時期に大きく関係している1~3歳の子どもの成長と発達について説明したいと思います。
※それぞれの年齢に応じた成長と発達のスピードには個人差があります。
上の表でそれぞれの年齢に応じた成長と発達を示しましたが、1~3歳の間に幼児は指先が器用になりできることが増え、またそれと当時に自分の意志を持ちます。周囲に対して興味や関心をもち、目的のために自発的に動き、まわりの子どもと積極的に遊ぶようになります。
そして感情(情緒)の面においても、生まれて間もない時期は、快、不快などは未分化な状態です。しかし次第に人との関わりを通して感情の分化が深まっていきます。「怒り・恐れ・悲しみ・嫉妬・喜び」などの主観的経験も成長と発達に伴いその表現は変化していきます。特に怒りの出現はきわめて早く、生後3ヵ月ごろより身体的な不快感や自分の欲求が阻止されたときに、泣いたり叫び声をあげたりしてあらわします。
幼児期には自我が芽生え、自分なりのやり方でものごとを行いたいという自己主張が強くなります。親の言うことに対して「いや」と言って拒絶し、自分の思い通りにいかないときには、激しく泣く、たたく、押す、引っ張るなどの行動を示します。このような反抗は発達のあらわれではありますが、しばしば親のしつけとの間に対立や緊張を引き起こします。これがまさしく「イヤイヤ期」なのです。
イヤイヤ期は幼児の成長と発達の過程で必ず通る道、「自分でやってみたい!」という気持ちのあらわれなのです。
どうしてイヤイヤ期が2歳前後であらわれるのかということは、上記の説明で理解できたかと思います。しかし理解できたとはいえ、イヤイヤ期の真っ只なかにある子どもの対応はとても大変です。外で泣きわめかれた時なんかは、まわりの視線も気になります。泣きたいのはこっちの方…なんて思われる親御さんもきっと多いと思います。
「子どもが成長している証拠。」「いつかは終わる…。」というように心を無にして親の方が我慢をして過ごしているのではないでしょうか。しかし親も人間です。イヤイヤ期の子どもにイライラしてしまい、こちらの我慢が爆発し、その時の感情で子どもに怒りをぶつけてしまうこともあるかもしれません。そんな時、必ず後で後悔しますよね。それにこの時期の子どもは怒られた内容より、親が怖い顔で怒鳴ったその恐怖に対し、さらにヒートアップして泣きわめきます。まさに火に油を注ぐ状態です。お互いにとって何ひとつ良いことはありません。
イライラは疲れのサインかもしれません。自分自身が満たされていない、余裕がない証拠です。親だからと我慢するのではなく、気分転換を積極的に取りましょう。イライラした時は、家の中であればまずその場を少し離れましょう。目を閉じ、深呼吸しながら6までカウントしてワンクッションおくと感情が鎮まることもあります。
親が余裕をもてると、子どものしあわせにもつながり、イライラも減らせます。そのためには、親も自分のケアが必要です。また、子どもは自立したいと思っているので、その力を信じることが、何よりも大切です。
1歳
言葉で気持ちを表現することがまだ難しい時期であり、うまく意思表示できないとき、自分の思い通りにならなかった、要求が伝わらなかった、といったことがあるとかんしゃくを起こすことがあります。またやりたい気持ちと体の発達がついていかずに、うまくできないこともあり、そのようなときにもかんしゃくを起こし、大泣きしたり、おもちゃを投げつけることもあります。そういう時は、子どもの気持ちに寄り添い、もどかしい気持ちを理解し、代弁してあげることが大事です。自分でやってみようとする、自分で選んで行動しようとする気持ちを大切にして、子どもの気持ちを否定せずに見守ることで自我が育っていきます。
2歳
自己主張が強くなり、自我が拡大する時期です。またその一方で自立と甘えのあいだで揺れ動く時期でもあります。
この頃の自己主張に対しては、その気持ちを受け入れ、認めてあげることが大切です。「いやだ」と反抗するときには、選択肢を与えてあげるとよいでしょう。そうすることで、子どもは「自分で決めた」という欲求が満たされます。
自立したい思いを尊重しながら、甘えてきたら手を貸すなど、その子どもの様子を見極めながら必要な援助をしていきます。自分の気持ちを受け入れてもらえた満足感、安心感が子どもの自己肯定感につながります。それは新しいことへ挑戦しようとする意欲や、他者の気持ちを思いやる心を育み、コミュニケーション力の育ちにも良い影響を与えていきます。
3歳
引き続き「自分で」と主張し、大人の手助けを拒む態度が見られます。しかし、2歳の頃のように激しく泣いて自己主張をしたり、かんしゃくを起こすことはしだいになくなっていきます。この頃の自己主張は、先を見通す力がついたことで、自分が決めた順序で最後までやり通したい、自分が決めたことをしたい、という思いが強くなってくるためです。またコミュニケーション機能の発達により、自分の気持ちを言葉で伝えることができるようになるためです。
ここ最近テレビなどでよく耳にする「モンテッソーリ教育」ですが、一体どういった教育なのか、その内容を詳しく理解している方は少ないのではないでしょうか。最近では、幼稚園や幼児教室でもモンテッソーリ教育を取り入れているところが増えてきており、「モンテッソーリ教育とは何だろう?」と興味や関心を持たれている親御さんは増えてきているようです。
子育てをしていくうえで、モンテッソーリ教育の考え方や技術の本質を知ることで、実に有効なヒントを得ることができます。
はじめての子育てはわからないことがたくさんです。突然の大泣き、イヤイヤ期、なぜなぜの質問攻め…すべて子どもの成長発達の上で避けては通れない道です。しかし、幼児期の成長と発達のこの時期はこれからの人生においてもとても大切な時期なのです。この時期に余裕も持って子育てできるかどうか、子育てが楽しめるかどうかは親御さん自身にかかっているのではないかと思います。なので、これから説明します、モンテッソーリ教育とイヤイヤ期の関係について、子育てをしている親御さんに知ってほしいのはもちろんですが、これから子育てがはじまる方にもぜひ知ってほしいと思います。
イタリアの女医/自然科学者マリア・モンテッソーリ(1870~1952)が子どもの成長発達過程を科学的に観察し、生理学的根拠に基づいて構築した教育法です。自らを成長・発達させる力を持って生まれてくる子どもを観察しながら、子どもの自発的な活動をサポートし、子どもの要求を正確に読み取り、その願いや思いに適切に応える環境や対応の仕方を見出すものです。
乳幼児期には、ある能力を獲得するために、特定の事柄に対して強烈な感受性が現れ、敏感になる時期があります。何かに強く興味を持ち、集中して同じことを繰り返す、ある限定されたこの特別な時期をモンテッソーリでは「敏感期」と呼んでいます。その能力の獲得が終わるとまた次の事柄へと関心(課題)の対象が移り、次々と新しい能力を獲得していくのです。「敏感期」はただ単に特定の事柄に敏感になるだけではなく、特定の事柄をいとも簡単に吸収します。このような敏感期がさまざまなものを対象にして出現し、その対象に出会った時、子どもには集中現象が現れます。
「敏感期」にはいくつか種類があります。()内で示した年齢はその「敏感期」の発現時期です。
・言語の敏感期(0~6歳)
・書く敏感期(3歳半~4歳半)
・読む敏感期(4歳半~5歳半)
・感覚の敏感期(3~6歳)
・運動の敏感期(1~3歳)
・数の敏感期(4~6歳)
・秩序の敏感期(0~4歳)
・社会、文化の敏感期(4~6歳)
「敏感期」のサインは3つあります。①静けさ②繰り返し③喜びです。そして「敏感期」を見逃さないためには、子どものことをよく観察することが大切です。マリア・モンテッソーリも子どもをよく観察して、そしてこの教育法を見出したのです。
なぜ子どもはいたずらをしている時に限って、静かなのでしょう…それはそのことに『集中している』からなのです。例えば、「静かだな~?何しているのかな~?」と子どもの様子を見ると、ティッシュペーパーを箱からひたすら引っ張りだしている。「あっ!こんないたずらして~。」と言ってティッシュの箱を子どもの手の届かない所に置くと、子どもは大泣きして暴れます。そして目を離した隙に、今度はおしり拭きのウェットティッシュをひたすら引っ張りだしている、というふうにまた同じことを繰り返します。これを単なるいたずらで終わらせてしまっては本当にもったいないです。なぜなら、今この子は「運動の敏感期」にあるのです。この行動をする1~3歳の子どもは、手根骨の発達にともない手の骨格ができ上がり、3本の指がうまく使えるようになるので、手を使いたいのです。指でものがつかめるようになり、うまく使えるように練習をしたいという強烈な衝動にかられる「運動の敏感期」にあるのです。ここで大切なのは、この行動をいたずらで終わらせるのではなく、なぜこんなことをしているのだろう?と子どもの様子や行動、表情を観察することです。ティッシュペーパーを箱から全部出した後の子どもの表情は、きっとその達成感から喜びに満ちていることでしょう。ここで「敏感期」に気づけたなら、子どものもっとやりたいという欲求や、手や指を使う能力、集中してなにかをやりとげる力を伸ばしてあげることができます。
そして「運動の敏感期」に指を使うこと、特に親指、人差し指、中指の3本の指を使って物をつまめるようになることは、脳の発達を考える上で大変重要な成長です。「3本の指は突出した脳である」とモンテッソーリが言っているくらい、3本指を使うことは脳を刺激します。なので、この時期に指をたくさん使うことは同時に頭のいいこに育つのです。
「敏感期」を知らなければ、その時期はいつの間にか終わってしまいます。「敏感期」は一生取り戻せない、素敵で重要な時期なのです。
エレベーターのボタンを親が先に押したら突然怒り出し大泣きした。部屋の模様替えをしたら延々と泣き続けた…。など、突然子どもが何で泣いているのか、怒っているのか理由が分からない場面に遭遇された親御さんはたくさんおられるのではないでしょうか。この時期の子どもには「秩序性」が芽生え始めています。子どもなりの「秩序(感)」であり、いつもの場所、いつものやり方、いつもの順序を好みます。「いつもと同じ」環境では自分の位置づけが分かり、安心して行動できるからです。
子どもは、何もわからずこの世に生まれてきます。そのため、世の中の仕組み、場所、順番などを「秩序づけて」理解していきます。そのために、いつものやり方、いつもの場所、いつもの順序などに強くこだわるのが「秩序の敏感期」です。これは生まれてからすぐに始まりますが、2歳半~3歳くらいがピークで、親にとっては一番理解しがたい、厄介な現象です。「秩序の敏感期」を迎えた2歳児はいつもと変わらないことを望みます。自分の記憶したルールがあるのです。その自分なりの「秩序(感)」(=こだわり)が狂ったり、乱された時、「いつもと違う!」という心の叫びを言葉にすることができず、火がついたように泣き出したり、ぐずり出したりするのです。これが「イヤイヤ期」と思われるのです。もし子どもが訳も分からずに大泣きしている時、「もしかしたら秩序の敏感期かな?」と思い出して下さい。そして、いつもの「順序」「習慣」「場所」に何か違いがなかったか考えてみて下さい。これを知っておくだけで、子どもの「イヤイヤ期」の対応もずいぶん楽になるはずです。
「敏感期」を理解すると、子どもの行動がよく見えるようになり、「あ!○○の敏感期だ。」と感動したり、驚いたり、子育てがぐんとおもしろくなっていきます。親のこころにも余裕が生まれ、「ダメダメ!」と注意したり、すぐに手を出したりすることも減り、そっと見守り、サポートする子育てに変わっていきます。
まずは子どものことをよく観察して下さい。何かと先々のことを考えると不安になるかもしれませんが、子どもの「今」と向き合い、子どもが「今」必要としていることを見極め、サポートしてあげて下さい。「敏感期」を見逃さないポイントは子どもの「今」としっかり向き合うことに尽きます。
イヤイヤ期…なかなか言うことを聞いてくれない子どもに、親はイライラしてしまいますよね。それが毎日続くとなれば親は疲弊してしまいます。そんな毎日はお互いに良くないです。
第一章でお話しましたが、イヤイヤ期は子どもの自立心の現れです。そして第二章で、イヤイヤ期には敏感期が隠れていることをお話しました。敏感期は子どもがグンと成長する時期です。敏感期に気づくことはとても重要です。
「期」というものには、始まりと終わりがあります。イヤイヤ期もいつか終わります。しかし、同時に敏感期も終わってしまうのです。イヤイヤ期がきたら「チャンス」です。子どもが成長する大切なこの時期に、親の働きかけ次第で子どもはグンと成長します。ではどのような働きかけをしたらよいのか、具体的な方法をご説明いたします。
モンテッソーリ教育には「教具」というものがあります。これは、「子どもが自ら手に取り、楽しく繰り返し、成長を実感できる」という目的のもと考えられて作られたものです。教具は購入もできますが、高価なものもあり、費用もかかります。しかし、手作りすればお家で簡単に気軽にモンテッソーリ教育を始めることができます。高い教具を購入したのに、子どもが全然興味を示さなかったということもあります。それは、まだその時期ではなかった。ということも考えられるので、後々興味を持ち、取り組むことがあるかもしれませんが、親はがっかりしてしまいますよね。自分で作ったものであれば、その子自身に合うようにアレンジできます。まずは試しに身近なものを使って手作りすることをオススメします。教具は実際に身近なものや、百均にあるもので手作りできます。それに子どもは身近にあるものの方が興味を示します。
そしてモンテッソーリ教育でもう一つ大切なのは「環境」です。親が何でもやってあげるのではなく、子どもの「自立」と「自律」をうながせるように環境を整え、援助してあげることです。子どもの目線に合わせ、子どもの成長に合った環境が必要です。
赤ちゃんはお座りができるようになると、手の動きが活発になります。1歳ぐらいになるといろいろな手の動きをするようになり、にぎったり、つかんだりすることができます。また、指を使うようになり、指でものを引っぱったり、つまんだりするようになります。この「にぎる」「つかむ」「引っぱる」「つまむ」「すきまに入れる」という手や指の動きはとても大切です。子どもがやりたがっていることを観察し、それを心ゆくまでできるようにしてあげたいものです。「それ、引っぱっちゃダメ!」なんて怒るのではなく、身近なものを利用して、子どもが何回でも繰り返しやれるような遊び道具を作ってあげましょう。
指を使う遊びは脳に良い刺激を与えるだけでなく、指先が器用になり、集中力もつきます。指先が器用になると、ボタンのかけ外しができたり、お箸が上手に使えるようになったりと、子ども自身もできたという喜びと自信がつき、それが意欲や自立につながります。できないことに対して子ども自身がイヤイヤやイライラすることも減り、親も心に余裕をもって接することができると思います。
具体的にどのような遊び道具を準備すればよいのか以下に説明します。
・ボールをつかんで出し入れする遊び。
(アドバイス)子どもが握れるぐらいの大きさのお手玉やボールを使うとよい。
・おはじきをつまんで、びんの中に落とす遊び
(アドバイス)年齢が上がるにつれ、つかむものもサイズを変えたり(小さくする)、落とす容器の入り口の幅を狭めたりと、難易度を少しずつ上げてみるとよい。
・つまみをつまんで引っぱる遊び。引くと ケースの中の 魚が浮き上がるので面白い。
・野菜の水切り容器のふたをまわす遊び
・空のペットボトルや、お薬のビン、ジャムのビンなどいろいろな容器のふたの開閉をする。
まわす遊びは手首を使うので、書くことの間接的準備にもなります。
・洗濯ばさみで厚紙をはさむ遊び
(アドバイス)年齢があがるにつれ、クリップに変えたり(クリップの方が指の力が必要)と難易度を上げる。
・豆をピンセットで挟む遊び。
(アドバイス)3~4歳くらいになると、色や形に分ける知的動作も加えるとよい。
・棒に輪っかを通す遊び。
(アドバイス)年齢が上がると、棒の数を増やし、色分けしたりするとよい。
・2~4歳くらいになると、ひもに輪やビーズを通すなど、細かい作業にレベルアップするのもよい。
・机にひもを結ぶ遊び
・ボタンのとめ外しを繰り返す遊び
子どもは遊びのなかで自ら学んでいきます。たくさんある色々なビーズの大きさや色、形を分類したり、一列に並べたり、このような「同一性を見出す、比較する、 分類する」といった大人が日常で使っている考える力はこの時期に確立します。敏感期を味方につけると、子どもは楽しく学べるだけでなく、学んだことがそのままよく身につくのです。
3歳以降、就学前にやっておくとよいことは、「折る」「切る」「貼る」という作業です。この三つのことは、手先や指の筋肉運動の調整がなされ、決定的に構成され、定着する4歳前後に十分訓練することが大切です。この三つのことを、自分の思い通りに実行することができると、幼児期の創作活動や表現活動が実に豊かになります。
ではどのように「折る」「切る」「貼る」という動作を子どもに教えるとよいでしょうか。何事もはじめから難しくしてはいけません。はじめは子どもが扱いやすく、子どもの手の大きさに合ったものを準備し、基本から段階をおって、正確に教えていくことが重要です。 そして、遊びの中で大人が一緒にやっていくとよいでしょう。
・折紙遊びの中で、はじめは1回だけ折る「三角折り」をやってみる。できたらそれをもう一度折って、2回折りをしてみる。この時、丁寧に折るように心がけましょう。このようにして、少しずつ折る回数を増やしていくとよいでしょう。
・はさみも子どもの手にあった大きさのものを準備しましょう。はじめは直線から始めます。そのあと、曲線→うず巻き→波線→かどを切る→ギザギザの線→切り抜くといったように難易度をあげていきます。
・貼る動作に入る前段階として、2歳ごろに布性マジックテープをくっつける、外すといった遊びをしておくとよいでしょう。
・最初は大き目のシールを準備し、はがしやすいようにシールの端を少し内側に折り込んでおきましょう。大きい紙を用意し、すきなところに貼らせてあげましょう。
・自分でシールを台紙からはがせるようになれば、少し小さいシールを準備し、今度は決まった枠の中に貼る練習をしましょう。
・のりを使って貼る練習をしましょう。この時使うのりは容器に入った指ですくうタイプのでんぷんのりを使います。のりのつけ方や使う指などを丁寧に教えてあげます。
「折る」「切る」「貼る」ができたなら、折ったものを画用紙に貼ったり、切ったものを組み合わせて貼ったりなど、いろいろ組み合わせて模様や形を作ったりして遊ぶとよいでしょう。子どもは思いがけないほどの工夫をし、想像力や発想の展開が広がります。
子どもは一度にたくさんのことを言われても理解できません。なので、伝えたいことは一つに絞りましょう。動作も同じです。一つの動作をゆっくり見せることが大事です。
やり始めは下手です。それはあたり前です。何度もやっていくうちにコツがわかるので、そっと見守りましょう。大人が横から口や手を出すことはやめましょう。
同じことを繰り返しやったおかげで、身体とともに、充実感、喜び、自信など、心も育ち、さらに高度な活動へと自発的に進んでいきます。子どもは自ら学び、成長するということを忘れずに、親はそっと見守る存在になれるといいですね。
ここで紹介したモンテッソーリ教育の取り組みも、全てやらないといけないなんてことはありません。「これは子どもが興味を持ちそうだな。」と思うものや、「これなら準備できそうだな。」などといったふうに、親の負担にならないよう、気軽にはじめるのが長続きするコツです。
モンテッソーリ教育は知れば知るほど奥が深いです。興味を持たれた方は、書籍もたくさんありますので、読んでみると子育てについてたくさんのことを知ることができ、学ぶことができると思います。
しかし、子育てをしている方は、なかなか読書をしている時間を持つことも難しいと思います。そんな時はお家で気軽にモンテッソーリ教育を少しでもいいので取り入れてみると良いでしょう。子どものことに興味を持ち、よく観察し、今しかないこの時期を、親も子どもも一緒に楽しむことが一番だと思います。