幼稚園転園時の子供の様子

2022年1月31日

幼稚園・保育園

第1章:初めてのお友達との別れ

私達家族は、いわゆる転勤族です。2年から3年の周期で引っ越しを繰り返しています。そのため私も主人と結婚して8年が経ちますが、すでに3回の引っ越しを経験しています。また私達には息子が1人います。今回はその息子が初めて引っ越しをした際の様子についてや、母親目線で色々と感じた事についてまとめてみたいと思います!

息子の初めての引っ越しは、息子が年少の4歳の時でした。やっと幼稚園にも慣れてきたなという秋の初めに、主人が異動になってしまいました。異動先は同じく関東県内ではあったのですが、さすがに毎日通勤するのは難しい距離だったので私達家族は引っ越しをすることに決めました。
もともと主人は、息子が生まれてすぐの時に地方に転勤をする予定だったのですが、私の産後の状態があまり良くなくて、当時の上司が地方転勤を取りやめにしてくれたという過去がありました。そのため、私はいつかくるとは思っていたけど、とうとう引っ越しかという気持ちでした。

また主人が仕事柄転勤が多いのは、すでに分かっていた事だったので、私達家族はとりあえずは主人の転勤先に家族でついていくという考えでいました。主人の同僚の中には、奥さんが「絶対に引っ越しをしたくない!」と言う考えの方もいるようです。そういう方は早々に家を購入し、奥さんと子供はそこから動かないと決めているような方もいました。
私は、出来れば引っ越しはしたくないけれど、家族は可能な限り一緒にいるべきかなという考えを持っています。なぜかと言うと私自身も小学校を3回も転校している転勤族一家で育ったからです。学校が変わったことで色々と大変な思いもしましたが、それでも家族で一緒に引っ越しを重ねて良い思い出もたくさん出来ました。また家族の絆も深まったと感じています。
そのため息子が小学生高学年になるくらいまでは、息子を連れて主人の転勤についていこうと考えていました。ちなみに息子はこの引っ越しでかなり情緒不安定になるのですが、それでも家族は一緒が良いという考えは私の中では変わってはいません。

引っ越しの事を息子に伝えた時、息子の反応は想像以上に薄いものでした。「ふーん、そうなの。」としか答えなかったような気がします。今考えると、息子はよく意味が理解できなかったんだと思います。でもその後息子は「みんな新しい幼稚園に行くの?」という
ような質問を何度もしてきました。息子は4才の頭の中で、「引っ越すとはどういうことだ?」と実は一生懸命考え理解しようとしていたのかなと思います。
ただ、「引っ越し=かっこいい」となぜか思ったようで、翌日には幼稚園の先生にも伝えてしまい、先生からお電話を頂く羽目にもなりました。

それからは準備に追われストレスがたまる私とは裏腹に、息子は回りにチヤホヤされるようになり毎日楽しそうでした。どこに行っても「引っ越しちゃうんだって!?寂しいな。」と声をかけられ、引っ越しの日が近づくと、プレゼントやお手紙をもらい、息子にとっては急に誕生日がきてしまったような毎日でした。「なんだかチヤホヤされて毎日楽しい!」という思いが大きくなって、お友達とのお別れが間近にきているのはよく分かっていないような状態でした。

一方、私は引っ越しの準備や新しい幼稚園への連絡などに追われていました。幼稚園は義務教育ではありません。そのため、幼稚園児を連れての引っ越しの際は新しい土地で通園できる幼稚園を自分で探さなければなりません。また幼稚園によって教育方法が異なったりするので、どこが良いのかなとネットで調べるところから始めなければなりませんでした。
もちろん、主人は自身の仕事で手一杯で何も手伝ってはくれませんでした。当時は私も仕事をしていたので、自分の仕事の引き継ぎなどもあり、てんてこ舞いでした。この私達の忙しくしている姿にストレスを感じたのでしょうか、息子は外ではニコニコしているのですが家に帰ると急にわがままになったり、私にあたってくるようにもなりました。私も余裕がなくて「言いたい事があるならパパに言って!ママだって引っ越したくないんだから」とか息子に言ってました。

今考えると本当に情けない話です。私がいつも「パパの仕事が悪い、パパのせいだ。」と言い続けたので、息子はそのうちパパの事を嫌がるようになってしまいました。異動の話が出たのがちょうど秋だったので、主人には先に行ってもらい私達は春になり息子の年少さんが終えてから引っ越しをすることになっていました。そのため、主人は2週間に1回ほど週末に帰って来てくれていたのですが、息子がパパを嫌がるようになり、大変でした。それでも主人は息子を無理やりお風呂に入れたりするので、泣き叫ぶ息子を見ながらもうやめてくれと思っていました。主人としては久しぶりに会って嫌がられて、多分相当ショックだったと思います。このパパ嫌いは、年末年始に家族でゆっくり時間を持てたことで解消します。そして私自身も後々あのパパ嫌いは私の言動が原因だったと気づきます。本当に子供はよく親を見ているな、親の考えに小さい頃は影響されるんだなと感じました。

また息子を連れての引っ越しをするにあたって、私はネットで色々と調べました。私は何でも心配事があると、ネットで調べてしまうところがあります。産後の体調不良で病院通いしていた際も、お世話になった女医さんに「そんなに不安になるなら調べないの!」と怒られたこともありました。
そんな私ですから、また懲りずに幼稚園児の転園についてや、新しい土地での子育てについてなどあらゆることをネットで検索をしました。そして多くのサイトには、「子供は慣れるのが早いから大丈夫。」とか「子供には適応能力がある」など前向きな答えが多かったような気がします。

当時の私も、確かに子供同士はすぐ友達になると思ってました。また、自分自身も引っ越しを経験した際ずっと友達が出来なかったという経験はありませんでした。必ず仲良くしてくれる子が出来て、引っ越しをした場所場所で良い思い出を作ることができました。
そして、息子は幼稚園に入園してから一度も泣いたことがありませんでした。いつも楽しそうに幼稚園に行っていたので、この子は新しい土地でもきっと大丈夫だろうと思っていました。

また、とうとう迎えた引っ越し当日も、息子はいたって普通でした。仲良くしていた友人達が最後送り出してくれたのですが、その際も特に泣いたりするようなこともありませんでした。
今考えると我が子の場合は、感情や想像力など色々な事が追いついていなくて、お別れや引っ越し、そして明日からのことなど全てがよく分からないような状態だったんだと思います。

新しい家に引っ越しをしてから数日間は、息子も昼間は大興奮のような状態でした。新しい家、新しい公園、新しいスーパーと何もかもが新鮮ではしゃいでいたんだと思います。しかし、夜は寝つきが悪かったり、夜中に泣き出したりする事もありました。引っ越し先での夜泣きに関しては、ネットにも書いてあったので私の中では想定内でした。やはり、楽しそうにみせかけて実は不安もいっぱいだったんだと思います。でも、幼稚園が始まって新しいお友達が出来たら、すぐ治るかなと思っていました。

また幼稚園が始まるまでの数週間は、新しい土地に知り合いがいるわけでもないので、二人きりで一日中過ごしていました。公園に行ったりもしましたが、中々息子と同世代の子に出会う事が出来ずじまいでした。しかし、息子はまだ4歳だったので、ママと遊べれば良いやというような雰囲気でした。私自身は息子とずっと一緒に過ごせて幸せを感じつつも、「なんだか孤独だ。」とも感じていました。また、引っ越しの片づけに息子の遊び相手にと、自分の時間は皆無のような状態でした。そのため早く幼稚園が始まらないかなと、常に考えていたような気がします。

第2章:初めての引っ越し 涙涙の毎日

そして新しい土地で迎えた4月!息子は年中さんになりました。
新しい幼稚園は家から徒歩で行ける距離にある、地域に密着したアットホームな幼稚園でした。
新しい制服に身をつつんだ息子は、なんだか年少さんの時に比べてお兄さんに見えたのをよく覚えています。私は、「やっと本当の意味での新しい生活のスタートだ、息子にも私にも早く友人が出来ますように!」という思いでいっぱいでした。

幼稚園初日は、ドキドキ緊張しながら意気込んでいた息子。次の日から早速給食も始まり、午後まで幼稚園で過ごす日々がスタートしました。最初の10日間くらいは、息子の様子は特に変わらずといった状態でした。新しいお友達が出来たとかも話してくれた気がします。ただ給食にはまったく手をつけなかったようで、その点は担任の先生からも言われました。前回通っていた幼稚園は週の半分がお弁当だったこともあったので、仕方がないかなとも思いました。またそのうち食べるようになるかなとも思っていました。

しかし、あともう少しで5月の連休という時期に息子が急に「幼稚園に行きたくない。」と言うようになったのです。出だしがスムーズだったので、私は驚きました。「慣れてきたと思っていたのに、なぜ急に嫌がる?!新しいお友達が出来たとも言っていたのに!」と思いました。「なんで?行きたくない?」と聞いても、息子は答えてくれませんでした。ただ「僕はもう幼稚園をやめる!」と言っていました。

子供だから、そういう事あるのかなと思いました。また、息子はどちらかというと人好きなタイプなので、そのうちまた幼稚園が大好きになるかなと思っていました。しかし次の日も、その次の日も泣きはしませんでしたが、「幼稚園に行きたくない。辞めたい。」というようになりました。

しかし、私はその時すでに仕事を再開していたので息子には幼稚園に行ってもらわないといけませんでした。(引っ越し先にも異動先があったので、パートとして新しい職場に異動をさせてもらっていました。)息子もそれは分かっていたのかなと思います。そのため、毎朝暗い顔をしながら登園し、帰ってくると必ず「もう嫌だ。」と言うようになりました。

5月の連休に入ると、幼稚園がお休みになったので、息子は以前のような笑顔を取り戻しました。また久しぶりに会った祖父母に、「ぼく幼稚園辞めたんだ!」と伝えていました。
しかし、もちろん辞めさせるわけにはいきません。連休後も、もちろん幼稚園です。するとその数日後、息子が朝からワンワン泣き出したのです。今まで口で「行きたくない。」とは言っていましたが、泣いたのは初めてだったのでさすがに驚きました。それも大泣きで、これは今日は無理かなと思いました。ちょうどその日は私のパートも休みだったので、この日はお休みをさせることにしました。息子には「分かったよ、今日はお休みしてママといよう。そのかわり明日は行こうね。」と伝えました。

その日は家にいても息子の気分は晴れないだろうと思ったので、お出かけをすることにしました。息子が遊べて楽しく過ごせそうな場所をピックアップして、息子に選ばせました。そして、お出かけしている間に息子になんで幼稚園が嫌なのかを聞いてみました。すると息子は「お歌が分からないの。僕だけ分からないの。」「お着替えがうまくできないの。」と話してくれました。

そうだったのかと思いました。息子はお友達関係で行きたくないと言っているのではなく、新しい環境に上手く慣れることができなくて嫌がっていたことにやっと気づくことが出来ました。また、今までちゃんと息子の話を聞いてあげてなかったのかなと感じました。今までは、「なんで嫌なの?」と私は責め立てながら聞いていたのかもしれません。私の口調や表情から「幼稚園になんで行きたくないの?それはだめなことだよ。」と息子には聞こえていたのかなと感じました。今回、息子と一日穏やかに過ごしてその中で聞いたので、息子は答えてくれたのかなとも思いました。

そして、息子が話してくれた行きたくない理由を解決してあげたいと私は考えました。主人にも相談しました。しかし、まず最初に言われたのは「なんで休ませたの。また甘やかして。」でした。そして「そんなの仕方がない。自分で解決してもらうしかないだろう。」と言われました。確かにそうなのかもしれません。しかし、私は親ができるサポートはしてあげたいと考えていました。今思うと、私と主人は子育てに対しての考え方が違うのです。しかしその当時は考え方が違うし育った環境も違うから仕方ないねとは思えませんでした。むしろ、「あなたの仕事のせいで引っ越して家族が困っているんだよ。少しは息子の話聞いてあげてよ。」と思っていました。

その当時は夫婦間の関係も悪かったと思います。主人も新しい職場に慣れるのに精一杯で家族を顧みる余裕がなかったのかもしれません。しかし、私はもう少し話を聞いてほしいと思ったし、「また甘やかして。」と言われたのはすごくショックでした。もうこの人に子育ての事を相談するのはやめようとまで思いました。

息子は前日に遊びに出かけてリフレッシュ出来たのか、その次の日は普通に幼稚園に行くことができました。そのため私は帰りに担任の先生ともお話しが出来て、息子の状況を伝えることもできました。あまり先生に全て話して心配かけるのも良くないと思ったので、息子が歌が分からないって言っていてと軽く話しました。結果論から言うと、先生は私の話を聞いてはくれましたが特に何かしてくれたという訳ではなかったかなと思います。でも先生に息子がそう思っているということを知ってもらうのは良かったかなと思います。

その後も息子は、数日に1回ワンワン泣いて幼稚園に行きたくないと主張するようになりました。私は、主人に「もう休ませるなよ」と言われていましたが、息子の様子と私の仕事のスケジュールを見て時には休ませたりもしました。

またこの時期の息子の様子で他の変化と言うと、息子が全く外で遊ばなくなったこともあげられます。引っ越し前は外で遊ぶのが大好きで、毎日暗くなるまで公園で遊んでいました。しかし、そんな息子が全く家から出なくなってしまったのです。土日も、「家にいたい。」と言うようになりました。幼稚園で頑張っているのだろうな、家が落ち着くのかなと思いました。

また息子が伝えてくれた幼稚園に行きたくない理由の1つに「お着替え」がありました。この幼稚園では園につくと朝一番に、体操服に着替えて一日を過ごします。以前の幼稚園でもお着替えの時間はありましたが、先生が手伝ってくれていました。これは園の方針の違いかと思うのですが、以前の幼稚園は出来ない事は手伝うという考えでした。しかし新しい幼稚園では、先生は手伝いません、自分で頑張りましょう。という考えでした。この着替え問題は、家でも練習をさせました。ボタンをかけたり、ファスナーの練習をしたりしました。そうはいってもすぐには出来るようにはなりません。このお着替え問題は、しばらく続きました。今思うと、息子もすごく頑張って練習をしていました。

息子はその後も泣いたり泣かなかったりしながら、幼稚園に頑張って通園しました。次第に泣く日が少なくなり、7月に入るころには泣く日がなくなり、毎日幼稚園に行けるようになりました。お迎えに行くと、笑顔を見れる日も増えてきました。お友達の話もお風呂でしてくれるようになり、やっと慣れたのかなと安心しました。私の中では、息子はもう完全に慣れて落ち着いたのだと思いました。そして夏休みがやってきました。

第3章:引っ越しから数ヶ月後、新しい環境に慣れたと思いきや、、

夏休みに入ると、その幼稚園には夏期保育というものがありました。これは、自由参加で午前中だけ幼稚園で子供を預かってくれるというものでした。またその預かっている時間は、天気が良いと、園庭にビニールプールを出してくれて子供達を遊ばせてくれました。
まだ新しい土地に引っ越してきて数か月だったので、夏休みに連絡を取り合えるような友人が私達にはいませんでした。そのため、私は息子をこの夏期保育によく連れていきました。

そして、この夏期保育は息子にとっては都合が良いシステムだったようです。
夏休み中ということもあり、通園時は体操服で行くので着替えをする必要がありませんでした。また給食もないのも嬉しかったようです。息子が嫌がっていたお歌を歌うこともありませんでした。そして何より大好きな水遊びができたのがとても良かったようで、この夏期保育でだいぶクラスメイトとも先生方とも打ち解けたようでした。

そのため2学期は、想像以上にスムーズに息子は幼稚園に行ってくれました。これでもう大丈夫と思い、私も仕事に完全復帰し忙しい日々を送っていました。

そんなある秋の日、幼稚園の担任の先生に「息子君、アレルギーですか?まばたきをよくしているのが気になるのですが。」と言われました。

息子は4歳にしてすでに花粉症などのアレルギー症状に悩まされていました。しかし、家では特にまばたきが気になるということはなかったので、先生に言われて驚きました。幼稚園がほこりっぽいから、仕方ないのかなとも思いましたが念のために病院に連れていきました。小児科では「アレルギーだね」と言われ、薬を処方してもらいました。しかし、薬を与えても息子のまばたきが、良くなる事はありませんでした。むしろ家でもまばたきが増え、どんどんひどくなっているようにも感じました。また、まばたきの仕方もなんだか違和感があり、目の病気なのではないかと不安に感じるようになりました。

そこで、私は息子を眼科に連れていきました。そこで先生に言われたのは「チック症」でした。「チック症」とは、まばたきや咳払いなど無意識で出てしまう体の動きのことを指すそうです。色々と考え方があるようですが、診察をしてくれた先生が言うにはストレスや緊張が原因ではないかと言っていました。

また、ストレスがたまると出やすくなるらしく、そのため幼稚園の先生が先に気づいたのではないかとも言われました。日常生活に支障がないようならば、特に治療なども必要がないのだそうです。また、あまりにも長い期間続くようならば、精神科に一度相談してみて下さいとも言われました。

秋になり泣く事もなくなり幼稚園に行っていた息子ですが、やはり心の中では少しずつストレスをためていたのかなとも感じました。また、後々息子にその頃の幼稚園の様子について聞いてみると、何もかもが新しくて分からないと語っていました。秋は行事が多いです。運動会もお遊戯会も、他のお友達は一度経験しているけど僕は分からないのが気になると言っていました。どうも先生が「みんなは年中さんだから一度経験しているから、もう分かるよね」と言うのがすごく嫌だったそうです。

この違和感があるまばたきは、その後も続きました。半年くらいでしょうか、息子が年長さんになるころにはだいぶ気にならなくなりました。しかし、小学生になった現在でも、息子は叱られたりすると違和感のあるまばたきをします。このチック症はいつまで出るのだろうと今でも不安になることもありますが、まだ息子は心も体も成長段階です。そのため今は特に通院などはせず様子をみています。

また、このまばたき以外にも息子が洋服をかむ癖がでてきてしまったのもこの時期でした。何か伝えたい事が言えない時やストレスを感じると、どうも洋服の袖を噛んでいるようでした。幼稚園で先生やお友達に言いたい事が言えないと、どうも洋服をかんで我慢していたようです。そのため幼稚園から帰ってくると、洋服の袖がビショビショでした。

そしてそんな秋も過ぎ、年を越えると世の中はコロナ禍に入りました。息子が行っていた幼稚園は早々に休園となってしまいました。またこの時期はまだコロナについて分からない事も多く、家に息子と閉じこもっている日々でした。最初の数週間は幼稚園に行かなくて良いと息子もルンルンだった気もしますが、だんだん飽きてきて幼稚園に行きたい、お友達と遊びたいと言うようになりました。

しかしそこから数か月幼稚園が始まる事はなく、幼稚園がちゃんと始まったのは年長さんの6月からでした。久しぶりの幼稚園。どうかな、ちゃんと行けるかなと思いました。クラス替えもしていたので、新しいお友達と仲良くできるかなと私は息子の新生活に不安を感じていました。

しかし、意外にも息子は幼稚園にすんなりと行き、そして今まで全く食べなかった給食も急に完食するようになりました。また幼稚園が終わるとそのまま夕方までお友達と公園で遊ぶようにもなりました。おかげで私にもやっと、新しい土地でママ友と言える友人が増えました。ママ友は必要ないと言う方もいますが、私はママ友は必要だと考えています。特に私のように夫と子育ての考え方が違う場合は、話を聞いてくれるママ友は本当に必要な存在だと思っています。息子のおかげで、親子で仲良くしてくれる友人ができ、私達親子はやっと新しい幼稚園になじめたように感じました。

また、1学期の終わりの親子面談では、先生に「息子君、性格変わりましたよね。」とも言われました。先生が言うには息子がすごく明るくなった、誰とでも話すし遊ぶし、よく発言をするようにもなったと言われました。また給食を食べるようになったのも、「心が成長したからかもしれませんね」とも言って頂きました。確かに息子は新しい場所に連れていくとご飯を食べないようなことがありました。そのため給食を食べるようになったのは、息子が慣れてきたという証拠だったのかなと今になると思います。

そこから卒園までは息子が幼稚園で過ごす生活を不安に思った事は一度もありませんでした。何か新しい事が起きても、自分で先生に聞けるようにもなりました。この1年間での息子の心の成長には本当に驚きを隠せません。先生が言った「性格が変わった」という表現が本当によく当てはまるほど、息子は人が変わったような気がします。息子なりに世の中で生きていくための方法を自分なりに模索して、見つけたのかもしれません。

また、息子が卒園をする前に主人は再び転勤となります。それも次は関東から関西でした。やっと新しい土地に慣れてきたのに、また引っ越しなんてと思いました。私は今回の息子の不安定な状態だったので、出来ればついていきたくないなとも思いました。

しかし、息子が「パパといたい!向こうでまたお友達を作るから、パパとママと3人でいたい。」と言ってくれました。そのため、主人には先に関西に行ってもらい、私と息子は卒園後に引っ越しをすることにしました。

関西への引っ越しでは、2年前と比べて息子の心の成長をとても感じました。もちろん、小学校という新しい生活リズムに慣れるまでは時間がかかりましたが、自分から新しいお友達に話しかけたりと積極的に新しい環境に慣れようとする姿を見ることができました。

息子は4才の春と6才の春に引っ越しを経験しました。たった2年の差ではありますが、2回の引っ越しで息子の心の成長をとても感じました。短期間で引っ越しを繰り返して、かわいそうだなと感じる事もありますが、この経験が息子の成長につながれば良いなと思っています。

第4章:4歳児と引っ越しを経験して私が感じたこと

4歳の息子と引っ越しを経験して、私も色々と感じました。私自身も転勤族の子供だったので、何度も引っ越しを繰り返してきたわけですが、やはり親になってから引っ越すのは話が違うほど大変でした。また息子が新しい土地に頑張って慣れようとする姿には、心が苦しくなってしまうようなこともありました。

私が4歳の息子と一緒に引っ越しをして感じたことは、たとえ4歳でも新しい土地に引っ越すということは大変なことだということです。
子供を伴う引っ越しについてネットで調べてみると「子供は適応能力のかたまりだ。」と多くのサイトで書かれていました。また、同じく転勤族の先輩ママからは「子供はすぐ慣れるから、大丈夫よー。」とも言われました。確かにうちの息子も色々とありましたが、最終的には引っ越し先に慣れることができ、良い思い出を作ることができました。なので、確かにそうなのかもしれません。

でも、そこまでいくためには、息子も4歳なりにつらい思いもたくさんしたのだと思っています。また、子供と一言で言っても色々な子供がいます。性格も色々です。うちの息子は、人は大好きですが、新しい土地に慣れるまでには時間がかかるタイプなのだと思います。いわゆる場所見知りなんだと思います。
それなりに大きくなっていれば、息子も引っ越してきたばかりだから分からないことがあっても仕方がないと割り切ることも出来たのかもしれません。しかし4歳での引っ越しでは、頭ではそこまで割り切ることもできず、ストレスがたまってしまったのだと思います。

もし今後私のように小さな子供をつれて引っ越しをしないといけない人に声をかけることができるならば、私は「無理をさせすぎないで。」と言いたいです。
3歳でも4歳でも、一人の人間です。そして、自分の子供だといっても、やはり考え方も性格も違う一人の人間です。子供がつらいと言ったら、無理せず休ませてあげるのも良いと思います。そしてその休ませるべきかどうかの判断は、子供の成長を一番近くで見守っている人がすれば良いと思います。
私は息子が新しい幼稚園に上手くなじめず泣いていたのを見て、一度休ませようと判断をしました。そしてそこからの数か月は幼稚園に行ったり行かなかったりする日々が続きました。
その判断を、私の主人は甘やかしていると言いました。確かに外から見たらそうなのかもしれません。子供が行きたくないと駄々をこねたのを、私は甘やかしていただけと主人は思ったのだと思います。しかし、私自身はあの時休ませて、息子とゆっくり話せて良かったと感じています。また、あの時ゆっくり息子に時間を与えなければ、息子はその後もっと幼稚園を嫌がるようになり、幼稚園で良い思い出を作ることは出来なかったのではとも思っています。

4歳の息子が新しい環境に慣れようと頑張っている姿を見ながら感じたのは、母親はなんて無力なんだということでした。赤ちゃんの時はなんでもしてあげることが出来たけど、今は息子が頑張る姿をただただ見守ることしかできないんだなと思いました。つらいと行ったときに休ませてあげることは出来るけど、最終的には息子には自分で頑張ってもらうしかないのです。自分で新しい友達を作って、新しい環境に慣れていってもらうしかないのです。

だからこそ大切なのは、子供としっかり向き合うことなんだと思います。何もしてあげられないけど、話を聞いてあげることはできます。特に思っていることを上手く言葉で表現できない子供の場合は、ゆっくり時間をとって向き合うことが大切だと思っています。大人にとってはどんなに些細なことでも、子供にとってはとても重要なことなのかもしれません。ちゃんと話を聞いてあげることは、子育てにおいてとても大切なのかなと私は思います。

また、どんなに頑張っても本当にムリだと言うこともあると思います。特に幼稚園の転園の場合は、幼稚園は園によってカラーが異なります。合う合わないは、やはりあると思います。私の息子は結局は、新しい幼稚園になじむことが出来ました。しかし同じく転勤族の方の話を聞くと、新しい園の方針と合わなくて、子供が登園拒否をし続けているということもあるそうです。
たとえ幼稚園でも本当に合わない場合は、違う選択をしても良いと思います。時代は令和です。昔はどんなにつらくてもそこで頑張ることが美学でしたが、今はそんなことないと思います。色々な生き方を選択できる時代です。そしてそれは子供も同様だと思っています。私は4歳の息子と引っ越しを経験してから、とりあえず行ってみて息子に新しい土地が合わなかったら帰ろうと考えるようになりました。人間合う合わないはあるので、子供にとって最適な選択をしてあげたら良いと思います。

また「無理しなすぎない」という言葉は、この文章を読んでいる方にも届けたい言葉でもあります。多くの転勤族の家族の方は、自分の意思とは無関係に引っ越しを繰り返さないといけません。子供を連れて転勤を繰り返すことはかなりの負担です。

結婚した当初、同じく転勤族の先輩ママに「1回転勤するたびに、寿命が10年縮んでいる気がする」と言われたことがありました。私は現在結婚してから、3回引っ越しを繰り返していますが、確かに毎回毎回寿命が縮むような気持になります。特に新しい土地に行くたびに、新しい人間関係を作らないといけないことは、大人になってからはやはり大変さを感じます。また我が家のように数年に1回引っ越しを繰り返す場合は、その家族は中々仕事をするのも難しいでしょう。私は関西に来る際に、やはり仕事を続けられなくなり退職をせざるをえなくなりました。
現在は社宅に住んでいるのですが、やはり転勤を繰り返して、鬱のようになってしまう方は多いと聞きました。周りに知り合いもおらず、家族としか話さない日々が続き孤独感から鬱になってしまう方が、実は転勤族の家族には多いんだそうです。子供のことで頭がいっぱいになってしまいますが、つらい時は大人もつらいです。無理しない、大変な時は少しでも休む、そして自分の心を大切にして欲しいなと思います。

また今までマイナスな事ばかりを書いてしまいましたが、子供が引っ越しを繰り返すことにプラス面もあると私は感じています。
まず、一番のプラス面は引っ越しを重ねる度に家族の絆が強くなっていくことです。引っ越しは家族にとって一大イベントです。家族で協力をしなければ、新しい生活は始まりません。我が家の主人は、仕事が忙しく引っ越しの準備や片づけは今まで一度も手伝った事がありません。しかし、そんな彼も新しい土地に行った際は、色々とサポートしてくれたり、息子と過ごす時間を作ってくれたりします。私達は子育ての考え方は違いますが、そんな主人の姿を見ていると彼も彼なりに息子のことを大切に思っていて心配しているんだなと感じることがあります。

また、息子は引っ越しでつらい思いもたくさんしてますが、その経験はきっと息子を強くしているんだろうなとも思います。4歳、そして6歳と引っ越しを繰り返し、息子は本当に大きく成長したと思います。明るく誰にでも接するようになったのは、息子なりに外の世界で生きていくために身に付けたものなのではないかなと思っています。
そしてせっかく転勤族の家に生まれてきたのだから、色々な人に出会って、色々な場所に住んで、息子にはたくさんのことを感じて成長していってほしいなと思っています。

 

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