早産児って、何が大変?35週で出産したママの体験談

2022年2月1日

子育て

第1章 早産してしまい、子供がNICUへ…。普通の産後と違うNICU生活

35週0日での出産、子供の状態は?

本来出産予定だった産院での母親教室を翌日に迎えたある日。急に腹部の痛みを感じ、出血。鈍い痛みを感じながら一夜を過ごし、翌日破水をしてしまいました。産院に駆け込み、NICUのある総合病院に緊急搬送。搬送後、6時間もかからず出産を終えてしまいました。

子供の体重は1700g台。この時の週数、35週0日。早産でした。

たとえ早産でも、出産したことに変わりはありません。産後安静にしなければならないため、そのままNICUに運ばれた息子の様子をすぐ見ることはできませんでした。

どんな状態かを耳にしたのは、産後数時間たった頃。夫が新生児科の先生の話を聞いてくれて、その内容を伝えてくれました。

正産期と呼ばれる37週以降であれば問題なく過ごせるようにできているのですが、それ以前に産まれてしまうと様々なリスクがあるということでした。しかしながら、仮に早産でも35週以降であればそのリスクは大きく減る、母体から十分に栄養をもらえなかったため血糖値が不安定だという話を聞きました。「早産児」「低体重出生児」「新生児低血糖」-この3つの診断がつき、NICUへ入院ということになりました。

初めてのNICU入室と授乳

経腟出産だったこともあり、トイレも比較的早くできるようになりました。少し動けるようになった私を見て、助産師さんから「NICU行ってみますか?」と声をかけられました。夫に車いすを出してもらい、初めてのNICUへ。

NICUは、日本語に訳すと新生児集中治療室。衛生管理は徹底されており、入室前には必ず手洗いを行わなければいけませんでした。また持ち込みできるのはカメラのみ。携帯もNGでした。どの赤ちゃんの面会に来たかをインターホンで伝えてから入室します。

モニターに映し出される心拍や酸素濃度。時々鳴るアラート。ドラマにもなった漫画「コウノドリ」で表現されていたNICUそのものです。私の子供が入院していたNICUは重症の赤ちゃんはNICUの中にある別室で治療を受けていました。

初めて面会した子供は、ちょうど授乳のタイミングだったからか泣いていました。幸いにも、私の子供は哺乳瓶を吸う力があったため初めから哺乳瓶で授乳ができていました。時間もちょうどよかったので、はじめての授乳をすることに。その時、夫に撮ってもらった写真は大事な宝物。その時あげたのは母乳ではなく、NICU入院中の赤ちゃん用の特殊な粉ミルクでした。

なお、産まれた時期によっては哺乳瓶を吸う力がなく鼻からチューブを通して経管栄養のようにミルクをあげるパターンになるそう。私の子供も初日は鼻のチューブが付いていました。

看護師さんは保育器3につき1人の配置だと、産前に説明を受けていました。一人の看護師に愛着を持たないよう、担当は日替わり。私が入院したNICUには男性看護師もいました。

早産児だからこそ大事な「母乳」

NICUから戻ったら、助産師さんから授乳に関する説明を受けました。赤ちゃんには母乳が一番、という話は様々なところで聞きますが、それは早産児も同様。特に初乳は栄養満点なので、スポイトで隅々まで吸い上げてあげるほどでした。

ただ、常に子供と一緒という訳ではなく、赤ちゃんも小さいのでお母さんの乳首から十分に母乳を吸えません。
そこで大事になるのが「搾乳」。自分で絞った母乳を集め、NICUに持っていくのです。
NICUでの初面会を済ませたあと、助産師さんに指導を受けました。初めのうちは手で搾乳をします。なかなか手が痛くなるのですが、私の場合は量も少なく搾乳機では無駄になってしまう量。3時間おきに胸と手が痛くなるほどやっていました。

入院中は哺乳瓶に入れて直接持参、母親退院後は母乳パックという母乳を保管する袋に入れて、冷凍させ持って行っていました。

搾乳の際、使うといいといわれたのが子供の写真や泣き声。特に泣き声は母乳の生成を促す効果があるそうなので、カメラ撮った動画を携帯に転送して、搾乳時にそれを流したりしていました。

NICU内での看護師さん・主治医とのやり取り

NICUへの入院という形になったので、普通の出産以上に医療従事者の方との関わりは増えます。特に看護師さんとは前回の面会時から変化がないかなど、会話が多くなります。

面会に行くと、まずその日の担当看護師の方が声をかけてくれます。そこから、追加になった治療があればその説明、また体調の変化やミルクの飲み具合など一通りの報告を受けます。NICUではミルクのタイミングは決められており、逆に言えばその時間帯に行けばミルクをあげられました。しかし、私の子供は割と元気なほうだったので、おなかがすいたとたくことが多数。ミルクの時間に行っても、「ミルクを欲しがったので先にあげちゃいました」といわれることが多かったです。

また、看護師さんに言われたのが「スキンシップも治療の一環」ということ。ミルクをあげる、おむつを替える、お世話ができなくても手を触れるなど何かしらのスキンシップも成長を早める効果があるそう。お世話をした後、体を手で包んだりしながら話しかけるなんてこともよくしていました。

主治医は面会の時にタイミングが合えば話すといったくらい。こちらから依頼すれば面会のタイミングに合わせてくることもありますが、私はほとんどしませんでした。

小さい赤ちゃんだから!?ちょっと変わったおむつ替え

最後に、今思えば「小さいからだったな」と思うお世話の仕方があったのでそれを紹介します。

NICUに入院する小さな赤ちゃん用のおむつが発売されているのは、時々CMなどで流れるので知っている方もいらっしゃるかもしれません。あのおむつを使うのは、本当に小さく産まれた、それこそ出生体重3桁という赤ちゃん向けものです。

私の子供は、小さく産まれたといっても1700g台。おそらくNICU用の小さいおむつでは大きいようで、市販もされている3000gまでの小さい新生児用のおむつを使っていました。ただ、それもブカブカ。

なので、おむつを替えてテープを貼るときにおなかに当たる部分を1回折り返してからテープを貼るよう指導されました。

退院後もこのやり方をしばらくやっていたのですが、初産ということもありこれが特殊だという認識がそこまでなかったのです。産後お世話になっていた義母から「なんで折っているの?」と言われて、初めて普通じゃないと認識したのです。

今思えば懐かしい話です。

第2章 NICUとGCU、違いは何?母親退院~子供の退院までの生活

そもそもGCUとは?NICUとの大きな違い

NICUで経過が良好になる、もしくはNICUに入るほどではないもののある程度の医療ケアが必要な赤ちゃんはGCUと呼ばれる場所に入ります。
GCUは日本語で「回復治療室」とも呼ばれ、赤ちゃんが病院の外に出ても生活ができるように親子共々慣れるための場所です。GCUに移れば赤ちゃんの退院が現実味を帯びてきます。

NICUと違い、必ずしも保育器が必要では無いので新生児室のようなベッドを使いますが、心拍数や酸素濃度を測る機械はどんな状態の赤ちゃんもつけていました。また、親子での生活を意識する場所なので、オムツ替えや授乳、沐浴といった日々のケアは親が主体。親が面会でいるうちは看護師さんはあまり干渉してきません。私の子供は必要ありませんでしたが、症状によっては在宅酸素の扱いなども習います。

また、親がお世話の主体になるため、体調不良でない限り毎日面会に来てお世話をして欲しいと案内を受けました。それを見越してか、赤ちゃん6人に対し看護師1人と看護師の配置もNICUに比べて半分程度。授乳のタイミングも「泣いたらあげる」という普通の赤ちゃんの流れ-自律哺乳を意識してケアをしています。

私がお世話になったGCUでは、基本的に何時にいくか事前連絡が必要。体調が万全ではないなどいけない場合も事前に伝える必要がありました。また、授乳室には搾乳機で有名なメデラの病院用電動搾乳機があり、直接哺乳ができないタイミングで搾乳して看護師さんに直接渡すこともできました。私はあまり母乳が出たほうではなかったので、あまり使いどころはなかったです。

NICUからGCUへ移動タイミング

NICUに入院した際、産後10~14日ほどはNICUに、以降はGCU移動する見込みだと聞かされていました。しかし、NICUに入る必要がある赤ちゃんが来た場合、早いタイミングでGCUに移るとも説明を受けていました。

そんな私の子供がGCUに移ったのは、私の退院翌日。産後1週間たとうかというタイミングでした。移った日はまだ体調が万全ではなく面会に行けず、夫が面会に行った際に「今日からGCUです」と言われたのです。あまり突然で、びっくりしたことを覚えています。

看護師さんの説明によると、私の子供は早産かつ低出生体重児であること以外何も問題がなかったから早い段階でGCUに移れたとのこと。NICUは重症度の高い赤ちゃん優先の場所であること、黄旦以外これといった症状もなく、お腹が空くと元気に泣けること。医療ケアはそれほど必要ではなく「ただ小さいだけの元気な新生児」だったのが要因だと考えています。

GCUで教わってよかったこと

GCUに移動しても、NICU同様日替わりで担当看護師さんがついています。面会に行くと、いつオムツを替えたか、いつ授乳したかを記録したものを確認し、いつ授乳をすればいいか確認します。

オムツ替えのタイミングは任意でしたが、授乳や沐浴は看護師さんに一声かけてから行う必要がありました。そして、その時看護師さんにお願いすれば授乳や沐浴をマンツーマンで見てくれます。このマンツーマン指導が初産だった私には非常に有難かったです。

ネットにあがっていた出産レポートやエッセイでは、「沐浴は集団指導でよくわからないままだった」「授乳室に行ってもアドバイスをくれない」など、初産には不安な情報が多数みうけられていました。毎日お産があり、たくさんの新生児のケアをしないといけないので丁寧な指導ができない例なのかもしれないです。しかし、GCUでの入院生活は通常の産後入院と比べれば期間もあり、手厚いと言えます。

はじめての授乳は、抱き方に乳首の咥えさせ方まで一つ一つ丁寧に教えてもらい、以降の自身がない場合は声かけをして大丈夫そうなら立ち会ってもらいました。また、母乳の後に哺乳瓶で足りない分を飲ませる必要があったため、スケールでの計量は必須。直接授乳で飲める量が増えていると看護師さんも一緒に喜んでくれました。夫以外に成長を共有できる相手がいたのもまた嬉しいポイント。身長・体重は毎日計測していたので、その数字を見るのも楽しみでした。

加えて産後の悩みを相談できる助産師免許を持つ看護師さんと仲良くできたこともあり、私自身のケアもしてもらえたのが頼もしかったです。実は一時期足に湿疹のようなものが出たことがあり、それを話すと「明日は来なくていいから休んで!」と休養を勧めてくれたこともありました。退院後、自分の事は後回しになりがちな産後。専門家に休めといわれたら休むしかありません。変に無理をせず済んでよかったのかもしれません。

土日は夫婦で面会し、看護師さんが夫に沐浴や授乳の指導をしてもらったのも大きなポイント。私の夫は非常に筋がよく、看護師さんにとても誉めてもらえたこともあり、夫の育児に対する自信につながりました。この入院生活から2年経ちますが、今でも育児はなんでも出来る子煩悩パパになっています。

最終検査と退院指導、そして退院へ

私の産後2週間検診が迫ったある日、突然看護師さんから「体重も規定を超える見込みだから、お母さんの2週間検診の日に退院しましょう」と言われました。私たちがお世話になった病院では、出産予定日基準で臨月(妊娠37週)になる時期に入っており、体重が2200gを超えたら退院できました。話をもらった段階ではまだ2200gになっていませんでしたが、「とっても元気だから、このままいけば退院当日には2200gになるでしょう」と半ば見切り発車で退院日が決まりました。

私の検診の時間があったため、退院の流れは少しイレギュラー。通常ならお昼に退院手続きをするのですが、私の検診がお昼にあったため検診終わりに退院することになりました。それまでに、退院前の最終検査として頭部CTスキャンなどを受け、問題がないことを改めて確認の上で退院に向けた各種手続きを始めていきます。

退院前には「退院指導」という、主治医から退院後の生活について説明を受けました。退院時の子供の様子、生活をする上で気を付けるべき事、また退院以降始まる定期的な通院「フォローアップ検診」の詳細について説明を受けました。また退院時期が冬場ということもあり、早産児がかかると重症化しやすいRSウイルスの予防接種「シナジス」の接種時期の案内もうけました。

この説明後、先に精算をしてきたのですが、各種補助のおかげで出費はおむつなど消耗品代のみ。ただ精算のための書類はA4用紙5枚に及んでいました。

その後GCUに入り、毎日服用する薬の説明を薬剤師さんから受けました。普通に産まれた赤ちゃんにも飲ませるK2シロップと別に、インクレミンシロップというものを飲ませる必要があったので、量の計り方や飲ませ方を習います。それが終わると荷物をまとめたり持ってきた洋服を着せて外に出る準備。普通の産院同様ミルクなどのサンプルはもらえますし、使いかけのおむつは持ち帰り。案外荷物ががありました。ちなみにこのとき、担当看護師さんから「今日2200gになりましたよ」と言われました。予想が当たり過ぎて驚きました。

そして、準備が整うとGCUを出て、退院。ようやくひとつ屋根の下での生活が始まりました。

第3章 早産児への自治体フォロー、何がある?手続きを早くしなければない理由

これからお話する内容は、私が出産をした自治体(大都市圏)でのお話です。自治体によって制度や対応が異なりますのでご注意ください。

自治体によって違う未熟児へのフォロー体制

出生届を提出し、児童手当の申請と子ども医療証の手続きを行う。ここまではどの赤ちゃんでも行うことです。早産の場合、別日に保健センターに行く必要があります。

行うのは「未熟児養育医療給付」の申請手続き。これは出生体重が2000g以下など条件を満たす赤ちゃんに対して公的援助を行う制度です。NICUの入院が長期化するなど自己負担額が増えた際に、自治体から負担額相応の支援を受けることができます。私の住む自治体の場合は、子ども医療証の制度もあるので医療証の提示があればこの制度を自然と使うことができる、と書いてありました。この手続きは子どもが入院中に行う必要があったので、退院後、子どもの面会の帰りに役所にいった覚えがあります。

申請が通ると、通知書や補助券などが届き、受診の際などに制度を利用できるようになります。私の場合は通知書のみが手元に着きました。

この申請、NICUの担当医からもらう書類や保険証など、必要な書類が多々あります。面会をしながら手続きも行い、日中は時間を見て搾乳…とだいぶ忙しい日々を送っていました。

「社保加入」「医療証取得」を早くしないといけない理由

出産した途端に入院となった私の子供。入院するということは、ベッド代に薬代、様々なケアを受けることになります。つまり、入院費が発生します。私がお世話になった病院では、月の切り替わりで請求書が発行されるので、その度精算をせねばなりません。保険証や医療証がないと、全額自己負担。大人がICUに入院すると100万円以上かかると言われています。NICUは赤ちゃんの集中治療室。最新鋭の医療機器や医薬品もたくさん使います。全額負担となると同等もしくはそれ以上の支払いが発生するでしょう。
たいていの子供は親の扶養に入るため、保険で大分の金額を負担してくれます。また、子ども医療証があれば自己負担はゼロ。退院しても通院頻度も多く、追加接種がいるワクチンがあるので早産児は特に医療証の恩恵が大きいとも言えます。

通常は1か月検診までに保険証も医療証もそろっていれば問題ないのですが、早産児はそういきません。加えて先述した未熟児養育医療給付の手続きにも保険証が必要。可能なだけ早く出生届を提出し、子供が扶養に入る会社などに状況を伝え、できるだけスピーディーに手続きを進めなければいけません。

私の子供は月の終わりの生まれ。保険証の発行前に請求が来ました。NICUがある病院なのでもちろん事情はくみ取ってくれますが、「出来るだけ早く保険証・医療証を発行して窓口へ出してください」と言われました。そのため、早産で産んだ翌日には保険証発行に必要な書類を揃え、保険証の発行手続きを進めるとその後の精算がスムーズになります。

私の場合は息子の入院が2週間と比較的短かったので、手続きがもたついてしまうと支払いのために病院に行く必要性が出てきたのかもしれなかったなと思います。

ちなみに、我が家は非常にスムーズに手続きができ、産後1週間くらいには子供の保険証が出来上がっています。その理由は事前準備。産休に入る前に取得した有給期間中、時間があったので役所まわりや会社向けなど、諸手続きをスムーズにできるよう書類をまとめておけるバインダーと手続きをまとめたメモを準備していました。産後、夫にそのファイルをまとめてもってきてもらい、どれを優先すべきかすぐ整理して翌日以降何をすれば明確にできたのが大きかったです。

自治体で行う検診、何か違うところはあった?

無事退院後、生産期で産まれた赤ちゃん同様自治体の訪問・検診を受けていきます。自治体内でもちろん早産だった旨は共有済み。これは産後病院から自治体に連絡が行くようになっていると説明がありました。保健師さんの新生児訪問も、早産という前提で話が進みます。

生まれてくる赤ちゃんの10%は早産といいますが、おなかの中にいた週数によって状況は大きく変わりますし、出生体重が2200gを超えているかどうかでもまた事情が違います。そういった面もくみ取ったうえで話をしてくださいました。

私の場合は35週と比較的お腹のなかにいてくれたこともあったため、体の小ささが影響する授乳の量などを除き特段配慮が必要な状態ではありませんでした。私の担当保健師さんの場合は、首が座ってこれば大きな発達の差はなくなるはずというお話でした。
※発達に関する見解は、保健師・助産師・医師で見解が異なります。あくまで私の訪問担当の保健師さんの意見です。

自治体が行う検診は3か月・1歳半・3歳の3回。
3ヶ月検診は新型コロナウイルスの流行第1波と被ってしまい延期に。ちょうどNICUでお世話になった病院での検診があったので、それを代わりにしたため自治体のものは受けていません。この3か月検診は元々退院後の経過をみる検診を兼ねており、確認事項は自治体実施の検診と同様。見る内容が被るなら、今すぐ受けられるものを受けたほうが良いと思い、役所と病院双方に相談して決めました。
※ちなみに、検診に来るという行動ができるかも一つの判断基準のようで、この話をしたところ住んでいた地区の担当の保健師さんが別途訪問に来ました。

1才半検診の頃はコロナの影響が比較的弱かった時期なので集団検診に参加しました。問診票にある出産週数の欄で早産であることは一目瞭然。念のため確認が入りましたが、どちらかといえば発達具合の確認がメイン。早産だからと心配される時期は抜けたかな?と個人的には感じました。ただ、この問診内容がまるっきり1歳半の定期通院で確認した内容と同じだったので、正直行かなくてもよかったように感じます。

この定期通院、大きな懸念がなければ3歳まで通って「卒業」というのが基本。このころには自治体の3歳児検診も行われると思いますが、私の今までの経験上問診内容は被りそうなので、万が一コロナ禍が長引いていたら病院の検診を兼ねようと思っています。

保育園入園の際、障壁はある?

私の子どもは0歳児で保育園に入っています。保活をする際も、早産であることがどう影響するか役所・保育園・病院とあらゆる方面に確認をとって進めていました。

役所に相談したところ、早産であることは伝えるべきだということ、入園に際して主治医から指示があればそれを伝えてほしいと言われました。ちょうど役所に相談した翌日に検診があったので主治医に相談。私の子どもの場合は、その当時身長以外懸念がないので集団生活も問題ないと判断いただきました。ちなみに私の子供よりも早く産まれている場合は、病気をもらった後の重症化を防ぐため集団生活を遅らせるパターンもあるらしいです。

その後、入園が決まった保育園と面談。早産である旨と、定期通院があることを伝えました。その際、特別な扱いがあるかどうかを聞かれました。アレルギーとも違うケアがいるかどうかがひとつの着目点だったように思います。ここで特別なケアが必要だと、人員も割かないといけないので園によってはNGになる可能性もあると考えています。

今では体格は小さいものの、生産期で生まれた他の子同様の身体能力を発揮し、同じ量のhご飯やおやつを食べています。

第4章 「フォローアップ検診」「インクレミン」・・・早産児の退院後の生活

発達を見守る「フォローアップ検診」があってよかったこと

NICUを退院後、自治体の定期検診以外に、主治医による定期検診を受けます。私の子どもの病院では「フォローアップ検診」と呼んでいます。通院の頻度は1歳になるまではおよそ3ヶ月に1回、それ以降は半年~1年に1回程度。通院の度に、自動的に次の検診日が決まり予約が入るという感じでした。

確認する箇所は自治体の定期検診と被る箇所が非常に多いです。修正1ヶ月検診は1ヶ月検診と同様原始反射の確認やミルク・母乳の進み具合を確認しましたし、修正3ヶ月検診では首座りのチェックや自治体と同様の問診も行っています。私の子どもの場合、コロナ禍で自治体の検診が遅れていたため、このフォローアップ検診を自治体の検診代わりにしていました。

これ以降私の住んでいる自治体の場合1歳半まで必須の検診はありませんでしたが、修正7ヶ月と修正1歳でフォローアップ検診がありました。修正7ヶ月の検診は採血も行っています。

実はこの修正1歳検診で身長の伸びが悪いことがわかり、今も経過観察中です。身長の伸びが悪いことが起因である低身長は、幼いうちに発見しホルモン治療ができれば平均身長までもっていくことが可能。主治医からは「3歳まで状況が改善しなければ治療を始める」と言われています。3才児検診で急に言われるよりは覚悟ができているので通っていてよかったと思える出来事です。

もうひとつ、”あざ”についても主治医のアドバイスをもとに治療を受けています。子どもの顔には苺状血管腫(いちごじょうけっかんしゅ)というあざが生まれつきあります。医者によっては自然と消えるからと経過観察のみになるのですが、子どもの場合は早めの治療開始を勧められ、専門医を紹介してもらい通院しています。医者の見解によっては治療せず経過観察となることもあるので、もしそうしていたら大きくなった本人のコンプレックスになりかねなかったなと思います。

K2シロップだけじゃない!早産児に必要不可欠な「インクレミンシロップ」とは?

退院時、服薬指導を受けています。飲ませる薬は2種類。ひとつ目はK2シロップ。これは早産でなくてもどの赤ちゃんも処方されるビタミン剤です。二つ目が早産児ならではのものです。

それは、「インクレミンシロップ」。

これは、非常に簡単にいってしまうと鉄剤です。早産で生まれた子どもは、本来母体からもらうべき栄養が少ない状態で生まれています。そのなかで特に欠乏しやすいのが鉄分。母乳やミルクからも十分量補えないため、この薬を処方されます。1日2回、朝晩を毎日。1回あたり数mlを測ってあげて、というのがルーティーンでした。

私の子どもがいた病院で教わった飲ませ方は、少量のミルクにとかす方法。なので、朝イチと寝る前のミルクは2本の哺乳瓶にミルクを分けて、先に薬を溶かしたミルクを飲ませてもう1本に取り替える、という非常に手間のかかる方法をやっていました。K2シロップやかかりつけの小児科でもらった薬があったときは哺乳瓶の乳首を追加で用意するなんてことも!

あまりに面倒だったので、原液を飲ませられないか聞いたのですが、甘味がそこまで強くないかつ鉄剤同様独特の臭いがするのでおすすめできないと言われてました。この手間のかかるやり方を、離乳食中期にはいるまで毎日やっていました。当時、コロナ禍で強い自粛が呼び掛けられていたので旅行等は考えていなかったのですが、もし旅行になっていたらどうなっていたのでしょうか・・・。

毎日飲むので、体が大きくなり1回量が増えてくると処方されたときに病院においてありそうな大きな瓶でもらうようになりました。しかも光に当たると劣化するらしく、暗い場所での保存が基本。瓶になるとどこにしまうか非常に悩みました。

インクレミンシロップを卒業したのは、修正7ヶ月検診のタイミング。ここで必ず採血をするのですが、目的は鉄分が十分量あるかどうか。鉄分量に問題がなければ、これ以降は離乳食で賄っていくことになります。薬用にとっていた新生児用の小さな哺乳瓶を処分して、ちょっと切なくなった記憶があります。

2021年のRSウイルス大流行は、早産児にとっては肝が冷えた出来事

2021年の夏、RSウイルスが大流行しました。RSウイルスは子育て世代なら馴染みがあると思いますが、どんな子どもかかるものの、0歳児がかかると重症化しやすい風邪ウイルスの一種。通常冬に流行します。

このRSウイルス、重症化すると肺炎など呼吸器に影響を及ぼすのですが、この呼吸器疾患を引き起こすというのが早産児には非常に怖いのです。

というのも、肺は体の器官の中で一番最後にできる器官。早産であればあるほど呼吸器官が未熟なまま生まれることになります。そうなると、呼吸器が弱くなる可能性が上がります。ここで肺炎になってしまうと、生産期の赤ちゃんより経過が悪くなってしまいます。

それを防ぐために早産児は通常の予防接種に加えて、「シナジス」というRSウイルスに効くワクチンを、流行する冬の間だけ月1回で接種しています。わたしの子どもは冬生まれ。シナジス接種の対象は生後6ヶ月経っていない赤ちゃんなので、産後すぐの冬は接種していました。

通常、流行を狙って接種するのですが、今回のRSウイルスが流行ったのは接種を行わない夏場。親がかかっても普通の風邪の症状しか出ないこともあり、生後半年未満の早産児がいる親御さんは、きっと気を揉んだことと思います。

修正月例って?予防接種はどうするの?早産児の育児Q&A

Q.修正月齢とは?
A.出産予定日に生まれたと考えて数える方法です。産後数年経てば生産期の子どもと忖度なくなるほど成長しますが、それまでは修正月齢をもとに発達の経過を見ていきます。私の場合は、1ヶ月早く出産してしまったので、修正月齢は生まれ月-1ヶ月で計算。フォローアップ検診は2才になった今も修正月齢で検診タイミングをみています。

Q.予防接種って、普通に打てるの?
A.予防接種は生まれたタイミングから起算して接種します。先ほど出てきた修正月齢は関係しません。なので、入院期間が長くなると予防接種の補助期間がすぎてしまうという話もあるそう。わたしの子どもは1ヶ月の誤差かつ入院期間も短かったので特に問題なく接種できています。

Q.早産でも普通のミルクでいいの?
A.確かに病院では低体重出生児用のミルクなどを使っていた記憶がありますが、退院後は市販のミルクを使っていました。先ほどお話しした薬の服用で哺乳瓶が必須だったので、哺乳瓶拒否にならないようにしていました。

Q.早産児でも、母乳が一番?
A.「母乳が一番ではあるけど無理しなくていいし、スキンシップの一環と考えればいい」「一番栄養がある初乳をあげれたからそれでいい」どちらも主治医の言葉です。正直、見解は別れると思います。ただ、私はこの言葉に励まされた側なので、張り切って完全ミルクに切り替えています。

Q.保育園で気を付けるべきことは?
A.出産週数にもよりますが、35週で産んだ私の場合は大きな配慮は必要ない状態です。強いて言うなら毎月園で測る身長体重の記録を主治医に見せれる状態にすること、通院で休むことになるのでその前後で通院の結果を先生に伝えるようにはしています。
ただし、生まれた週数によってはなにか必要になるかもしれないので、主治医・保育園側両方ともに状況は話しておく必要はあります。

第5章 37週以降に産めなくても大丈夫。「早産児でよかったのかも」と思うこと

妊娠37週以降の正産期に出産するのが母子ともに最善ではあります。しかし、正産期で産めなかったから自分はダメな母親だと落ち込むのは少し違うと思います。メリットというと語弊がありますが、しっかりフォローしてもらえるからこそのよさをいくつか伝えて、私からのお話を終えたいと思います。

いいこと1…かかりつけ医や保健師以外に相談相手(=NICUの主治医)がいる

何事もなく出産した場合、子供のことを相談できる医療関係者はかかりつけの病院の先生と地域の保健師さんが中心だと思います。もし気にかかることがあっても、かかりつけ医が「経過観察でOK」と言ってしまえばそれきり。地域の検診で保健師から指摘が入って初めて大きな病院へ…ということもあるでしょう。気になる症状があって、専門病院にかかろうにもいい病院を調べるのも大変です。

今の私の場合、かかりつけ医や保健師さん以外に、NICUでお世話になった主治医の定期検診があります。顔に生まれつきのあざがあるのですが、その治療ができる病院を教えてくれたのはその主治医。子供のレーザー治療に力を入れているので、設備も腕も確かです。また、かかりつけ医で低身長の可能性を指摘された時も、その情報をそのまま主治医に伝えて様子を見てもらうことができたので病院探し等もしていません。

また地域の検診の際に問診をする保健師さんが、必ずしも固定では無いので、個人の見解の違いも出てしまいます。早産だったことの説明も都度行わなければいけないですし…。かかりつけ医も、決して最新医療に長けているとは限りません。経過観察をした結果手遅れに、という最悪の事態も無きにしもあらず。

かかりつけ医、保健師、そして主治医。多くの医療従事者の意見を耳にして、判断材料を沢山持てるというのは初めての育児をしている私にはありがたい話です。

いいこと2…哺乳瓶に慣れた状態で育児ができる

生まれた時からしばらく哺乳瓶メインの生活を送っていた私の子供。退院後もミルクメインの混合母乳にしたので、哺乳瓶の暮らしが基本でした。完全母乳をめざし、哺乳瓶を受け付けなくなってしまったという話も聞きますが、私の子供はそういった状況には陥りませんでした。時折乳首のサイズ感が合わずミルクの飲みが悪くなることはありましたが、「哺乳びんは嫌!」という事はなく、夫に預けて出かけることもできましたし、0歳から保育園に預けた際も苦労しませんでした。
哺乳瓶メインですごした時期が長かったお陰かな?と思っています。

いいこと3…入院したおかげか、生活リズムがつけやすい

NICUはオムツ替え・ミルクの時間共に固定。「この時間に面会をすればミルクをあげられる」と予定も立てやすかったです。GCUは欲しい時に飲ませる自律哺乳が基本ではあるものの、母乳やミルクをあげて4時間経っても欲しがらなかったらあげるというルールがありました。そのため、子供は3~4時間毎に律儀にミルクを欲しがる子になりました。夜が得意な夫は、できる日はミルクを欲しがるであろう時間まで起きて、ミルク関係のお世話後に寝付くということもしていました。

また入院していたNICU・GCUともに朝晩の区別がつくよう、照明の明るさを変えることができる設計。退院後もこの区別をできるだけ意識した暮らしを送った結果、生活リズムが整うまでそこまで時間がかかりませんでした。いわゆる「ねんねトレーニング」も実践したのですが、生活リズムを決められることに違和感がないからか、あまり抵抗されずに進めることができました。

よく「母乳は欲しい時に、欲しいだけ」という話を聞きますが、必ずしもそうではないなと感じますし、リズムを早くに付けられるほうが親の体力回復も早くなるような気がします。

いいこと4…夫婦で面会に行ってお世話ができるので、父親の自覚を持ちやすい

実家が僻地で医療体制に不安があったこともあり、私は里帰りをせずに出産しました。そのため、入院した病院が比較的近かったです。面会は私ひとりで行くことも多かったですが、時間が許す限り夫も行ってくれました。NICUにいた頃は仕事帰りに必ず、GCUは人員の問題で夜間の面会はNGでしたが、土日は必ず一緒に面会に行ってくれました。

ここで有難かったのが、夫に対してもお世話の指導があったこと。抱っこの仕方にオムツ替え、ミルクのあげ方や沐浴に至るまで普通産院で母親にだけ教える内容をマンツーマンで教えてくれていました。それこそ、上手にお世話できた時にプロから褒められるというのは夫のやる気にも繋がった模様。疑問点があったら夫から質問できるというのも良かったようです。

よく、母親だけ先に親になって父親は父性が追いつかないという話がありますが、私はその理由が育児参加のタイミングをつかみにくいことにあるからだと考えます。産後の指導は原則母親に向けたものがほとんどで、父親向けの指導の場がほとんどありません。ある程度経験値がある状態の退院直後の母親と、経験値ゼロの父親。この温度差がその後のトラブルの要因にもなり得るのでは?と思います。
そういう意味では、恵まれていたと思います。入院し、面会という形でプロの指導・交流をもてたことは我が夫婦にとって非常にプラスでした。

早産=辛い、悲しいものではない

私自身、早産をしてからインターネットやSNSで情報をたくさん検索しました。35週と比較的おなかの中にいてくれましたが、「普通じゃない子」をどう育てればいいか不安で仕方ありませんでした。

しかし、出産から2年以上経った今思うのは、早産は週数問わずあくまで早く出てしまっただけだということ。それ以外は特に気にしなくていいということです。

「お腹の中で十分に育ててあげられずに辛い」「生まれてすぐたくさんの管につながれてしまって、可哀想なことをした」―そう考える早産児ママはきっとたくさんいると思います。確かに医療ケアが必要な場合もありますし、早産起因の低身長症などで長期間病院のお世話になることもあります。

ただ、医療ケアが必要になるのは早産児だからというわけではないですし、子供のことを気にしてくれる人が周りより多いというのは、恵まれていると私は感じます。

最後に

「どうしても早くお父さん・お母さんに会いたかったんでしょうね」―この言葉、出産後に経過を聞いた際に小児科の先生に言われた言葉です。

この方、今の主治医ではないのですが、早産・体重が少ない以外全く異常がなかった私の子供を診察したうえでこう仰っています。この言葉は、私たち夫婦の安心材料にもなりましした。私が比較的せっかちなので、「子供の性格、私に似たね」なんて会話をよくしていました。

仮に私よりもっと週数が少ない状態で生まれたとしても、きっと同じなんだと思います。

だから、悲観する必要はありません。NICUの整備など医療が発達しているので、早産になったとしても生きていける環境が整っています。だから、仮に早産してしまっても大丈夫。早産児の子育ては、普通の子以上にいろいろな楽しみが待っているはず。それこそ、フィギュアスケートの宇野昌磨選手は出生体重1000g以下。もしかしたら、普通に生まれた子以上の能力があるかもしれないと考えると、少しワクワクするくらいです。

同じ月齢の子よりはちょっと小さいけれど、まだできないこともあるけれど、それも含めて可愛い我が子です。どうか自信を持っていただきたいです。

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